法学館憲法研究所は、憲法を系統的に研究し、個人の尊厳の実現をめざす非政府組織としての自由な研究機関です

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憲法情報Now<憲法関連書籍・論文>

 

書籍『反貧困』

H・T

 日本に「貧困」が社会問題として存在するということは、政権によって否定されてきました。本書が執筆された08年4月当時もそうでした。しかし、状況はその後急速に変化しました。筆者の湯浅誠氏は本書を執筆した動機を、「貧困の姿・実態・問題を見えるようにし(可視化)、この悪循環を断ち切ること」と記しています。意図どおり、本書は状況を変えた大きな要因の一つとなりました。のみならず、タイトルの「反貧困」という概念も、社会運動とともに多くの人に共有されました。決定的にしたのは、昨年12月の大佛次郎論壇賞の受賞に引き続く、同月31日からの「年越し派遣村」の開設でした。その“村長”を務めた湯浅氏による本書の特徴は、まずもって、26歳である1995年からホームレスをはじめ貧困者と共に生活し行動した経験に裏打ちされた豊富な事実資料にあります。

 しかも、その資料が理論とともに体系的に整理されています。雇用、社会保険、公的扶助という縦軸の3層のネットに対応して、3段階の活動の種類が横軸に図示されています。95年までは学者を目指していたという研究者の姿があります。「自分自身からの排除」を含めた「5重の排除」構造の指摘や、「自己責任」論を厳しく批判した「自己責任の過剰」などは氏が強調したいところでしょう。

 事実と理論は、キーワードとなるいくつかの造語によって、有機的に結合されています。上記以外にも、「すべり台社会」「貧困ビジネス」「見えない“溜め”を見る」‥‥。概念を共有しようとする運動家湯浅氏の面目躍如です。

 もう読まれた方が多いと思われますが、現代社会における人間としての最低限度の生活(憲法25条)とは何かを理解するうえで必読の書籍の一つです。知性と情熱が溢れる歯切れ良い短文には人を引き込む力があります。

 最近、氏は鳩山政権の内閣府に参与として起用されました。今、氏は「可視化」から政策の「具体化」に向けて活躍しておられます。

【書籍情報】湯浅誠著 岩波新書 2008年4月刊 本体価格740円+税

<事務局より>
 法学館憲法研究所は、筆者の講演会を下記により行います。ご参加をお待ちしています。
              記
公開研究会「反貧困運動と憲法」
日時:2009年11月14日(土)午後3時〜5時
会場:伊藤塾東京校
内容:●講演「貧困者の現状とその自立と生活をサポートする活動」
湯浅誠氏(反貧困ネットワーク事務局長)
●コメント「貧困問題と日本国憲法」
浦部法穂氏
●討論
参加費:1000円(法学館憲法研究所賛助会員、学生、伊藤塾塾生は500円)
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