法学館憲法研究所は、憲法を系統的に研究し、個人の尊厳の実現をめざす非政府組織としての自由な研究機関です

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書籍『国家の貧困―格差社会を今こそ粉砕せよ!』

K・T

今回ご紹介するのは、当サイト“今週の一言”にご登場いただいている雨宮処凛さんと、政治評論家の森田実さんとの対談をおさめた書籍『国家の貧困―格差社会を今こそ粉砕せよ!』です。
本書では、“経済大国”とよばれた日本がいまや“貧困大国”に陥り、現実にどんな事態が生じているのか、またそうなった原因と責任はどこにあるのか、そしてそこから脱却するにはどうしたらよいのか、といったことが、お二方の人生経験を随所に織り込みながら、縦横無尽に語られています。

森田さんは、かつて砂川闘争のリーダーの一人でした。軍事基地拡張のための土地収用に抗した闘いで逮捕・起訴された事件で無罪を言い渡し「日米安保条約は憲法違反」と判じた一審伊達判決の意義と、跳躍上告によって伊達判決を取り消した最高裁判決に言及されています。(砂川事件についてはこちら(ときの話題と憲法 1959年)もご参照下さい。)
一方、雨宮さんが経験された“麻生邸リアリティツアー逮捕事件”の顛末も見過ごせません。「本当に、ただ歩いているだけでした。先頭の人が『麻生さんの格差・貧困をつくりだした責任と、戦争を支持した責任……』と言った瞬間に、それが『公安条例違反』にあたるということで逮捕されたのです。(中略)貧乏人が今の世の中に怒って、意思を持って声を挙げると、もうそれが公安条例違反になるということです。貧乏人が声を上げると排除しようとする。この今の状況というのは、本当におかしいと思います。」(p.96)明らかに表現の自由を侵害する不当逮捕への雨宮さんの怒りがひしひしと伝わってきます。

貧困、戦争、人権、平和。これらの問題が憲法の視点からも密接に関わりあうものであることを、森田さんは日本国憲法の成立経緯に触れながら、次のような言葉で説明されています。「(前略)当時、占領軍のなかにはニューディーラーやケインズ主義者がいました。(中略)憲法をつくる際に、日本側から参加した人のなかにも、民主主義的資本主義支持者がいた。(中略)国民に対して基本的人権と、最低の文化的生活を保障するという憲法は、明らかに民主主義的資本主義、修正資本主義、完全雇用主義の考え方です。(後略)」(p.117)この戦後日本の出発点から、私たちはどれほど隔たってしまったのかを、改めて考えてみる必要があるでしょう。
この隔たりを埋め戻し、破壊された社会を再建するにはどうしたらよいのか。雨宮さんの次のような言葉が手がかりとなるのではないでしょうか。「私は今のこういう社会がイヤだし、それに対する抵抗として、支援したいし、一緒に闘いたい。労働/生存運動を通じて、生まれて初めて、競争相手ではない人と出会えて、競争以外の人間関係を手に入れたという人が本当に多いのです。」(p.256)

尚、本書の構成は以下のとおりです。

はじめに―雨宮処凛
第1章 悲鳴を上げる日本社会
第2章 日本を崩壊させた政・官・財・学・マスコミ界の大罪
第3章 総中流社会の崩壊から暴走する資本主義へ
第4章 始まったプレカリアートの反撃
第5章 世界の当事者として生きる
第6章 調和ある社会の再構築へ
おわりに―森田実

【書籍情報】森田実・雨宮処凛著 日本文芸社 2009年9月(定価 本体価格1,400円+税)

<法学館憲法研究所事務局より>
※当研究所では、来る11月14日、自立生活サポートセンター・もやい事務局長で国家戦略室・政策参与に起用された湯浅誠さんをお招きして公開研究会「反貧困運動と憲法」を開催します。憲法の視点から貧困をめぐる問題について考える機会としてあわせてご案内します。

 

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