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憲法情報Now<憲法関連書籍・論文>

 

書籍『知る、考える裁判員制度』

H・T

 裁判員裁判がスタートして2か月が経ち、イメージがつかめた方も多いのではないでしょうか。しかし、このまま何となく受け入れて行くのではなく、制度の仕組みをもう一度確かめ、導入の意義は何だったのか、問題点はないのか、課題は何かなどを意識的に考え続けることが必要です。本書はそのための資料をコンパクトに提供しています。筆者は、共同通信の社会部で裁判を長年担当してきた竹田記者です。

 「T」では、裁判員制度の仕組みが具体的な事件を用いて分かりやすく解説されています。刑事裁判の用語自体の説明も豊富です。自分が裁判員になったという視点で時系列的に親しみやすく説明されています。

 次いで「U」の「どうして導入されるか」では、諸外国の陪審や参審制度それぞれの比較の中で、現在の裁判員制度が立案された経過が再現されています。最高裁は市民に評決権を与えることに消極的でした。従来の「精密司法」で問題はないとの認識が背景にありました。しかし、裁判所の独善的な「官僚司法」への危機感や、グローバルスタンダードにさらされ日本人も“お上”意識を変える必要があるとの認識を背景に、市民が主体的に裁判の形成に参加すべしという意見でまとまった経過が記されています(但し、成文化された条文の文言など問題があると思います)。

 「V」は「どんな問題点、課題があるのか」です。厳しい守秘義務はこのままでいいのか、強調されている迅速化で内容の充実した裁判が犠牲にされないか、公判前整理手続きのあり方、死刑の適否、取り調べの録画化、さらには「市民と距離を置く裁判官」、「責任問われぬ弁護人」の問題も検討されています。裁判員制度の採用に対しては、“日本人は多数派の考えをすごく気にする。批判力がない。ムードで決める”として批判的な意見が多数存在します。裁判員制度はこの日本人像を変えることへの挑戦でもあります。

 「W」は「どのような影響があるのか」です。民事訴訟や行政訴訟にも市民が参加すること、さらには、現在の最高裁の司法消極主義の変革の展望にも言及されています。

 最後の「X」は「事件報道は変わるのか」です。市民は報道のあり方も監視し、意見を述べて行く必要があります。

 【書籍情報】竹田昌弘著 岩波書店(岩波ブックレット) 2008年6月刊 本体価格800円+税

<事務局より>
 法学館憲法研究所は、元裁判官による連続講演会「日本国憲法と裁判官」を開催中です。10月21日(水)には、刑事裁判を担当して来られた2人の裁判官に、裁判員裁判を含めて刑事裁判について語っていただきます。
 詳しくはこちら

 また、当研究所も開設に参加している「WEB市民の司法――裁判に憲法を!」は裁判員裁判の資料を毎週月曜日にアップしています。

 

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