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書籍「ガンジーの危険な平和憲法案」

T・S

 日本国憲法に造詣が深い著者が、ガンジーの非暴力思想と憲法案を論じています。
 インドはガンジーによる非暴力の運動によって独立しましたが、当初から軍備を持ち、今や隣国パキスタンとともに核兵器保有国です。独立の父の思想とはかけ離れてしまった国になったことは成立した憲法がガンジーの憲法案とまったく異なったことに表れています。
 ガンジーの憲法案の前提としての国家観はネルーを始めとした独立国家作りを行なった指導者たちとは相容れない隔たりがありました。
 70万ある村々に国家主権を置くと主張するガンジーの思想はインドをひとつの国家として国家主権を考える憲法作成委員会には受け入れられない「中央政府解体論」です。まさに「危険な憲法案」でした。
 ガンジーが憲法作成委員会の指導者たちを説得できなかったのも当然ともいえるでしょう。ゆえにガンジーの憲法案は、ほとんど討議されることもなく、葬りさられました。
 共に独立運動を戦った仲間にも理解されなかったガンジーの非暴力主義の根底にある思想と憲法案は、平和や非武装を論じる際に現代的価値があると思います。
 著者はこのガンジーの反植民地思想・行動から、日本はなにを学ぶべきか提起しています。
 ガンジーによれば、権力とは「その権力によって管理され、振り回され、抑圧される人の協力から発生するもの」と分析します。つまり、客観的事実として、権力はもともと人民にあるといいます。人民の支配者に対する請願などあらゆる運動はその権力を取り戻す行動になります。
 著者はこれを主権在民の実現をめざす行動と言えるといいます。著者は今日、主権在民の受け皿になりうるものとして、ガンジーの「村」に代わり「市民社会」ではないかと論じています。そして、市民社会は非暴力であり、また政府や官僚とは異なる「市民社会言語」を形成しなければならないといいます。
 著者は日本国憲法、特に基本的人権を保障する条項には、活発な市民社会が見事に描かれているといい、第12条と97条に書いてあるように人権は、絶えずたたかわないと失われてしまうと警告しています。
 日本では市民の一部だけが活発な市民社会になっているといい、それは思想を持つ結社やさまざまな思想を表現している本や雑誌・新聞などをさしています。
 ただ、それは社会の少数派であり、なぜ、そうなのかは、日本国憲法の主権在民と天皇の矛盾に答を求めています。

【書籍情報】 C・ダグラス・ラミス著 集英社 2009年8月刊行 定価(本体680円+税)

 

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