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書籍『裁判官だって、しゃべりたい!』

H・T

 「裁判官だってしゃべりたい!」
 この本の題名をごらんになって、どんな感想を持たれたでしょうか。表紙のポンチ絵とともに、堅苦しい裁判官がえらく「くだけた」名前の本を出したものだ、と思われた方も多いのではないでしょうか。

 以上は、この本の「はじめに」に書かれた冒頭の文章です。編著者は、1999年に創立された「日本裁判官ネットワーク」。現職の裁判官を構成員とする団体的な活動は、「自立する葦」で紹介した「全国裁判官懇話会」などもありましたが、対外的に公に活動する団体としてはこれが初めてで、創立を発表した記者会見には多数の報道関係者が詰めかけました。公務員のあり方は、戦後の民主主義の改革の中で大きく変わりました。憲法が新しくなったのですから当然のことです。しかし、裁判官は、その改革からはずされて、戦前の官僚裁判官の制度が色濃く残されました。このことが、今に至るも、裁判官、ひいて裁判を国民から隔絶された世界に追いやっている大きな要因になっています。それゆえ、裁判官が黒い法服を脱いで、ありうべき司法の像を求めて市民と交流しようとする営みは、国民主権を掲げる憲法の下においては、画期的なことであり、当然のことでした。

 本書は4部構成です。第1部「裁判はだれのために?」は3つの対話です。@近時関心を集めている犯罪被害者の問題についてご子息を交通事故で亡くされた片山徒有さん、A元死刑囚にとって「裁かれる」とは何かについて免田栄さん、B少年事件を担当されている家庭裁判所の調査官と裁判官が親身に対話しています。

 第2部は「司法改革と裁判官」。本書は司法制度改革審議会最終意見書が発表された直後の2001年に刊行されました。裁判員制度の採用が決まり、その細部の検討を開始するに当たって、7人の裁判官が「市民が裁判官!裁判員制度と国民の司法参加」と題して座談会を持っています。「裁判官の中に市民が入っていく」のでなく、「自分たちが裁判をしているんだ。」「その中に裁判官が参加してくるのだ。」という意識が大切だ、など活発な議論が展開されています。

 第3部「できるか?夢の裁判所」では、「日本裁判官ネットワーク」の軌跡と未来などが語られています。
 
 第4部は「生き方・家族・子育て」です。裁判官である夫と、弁護士である妻の「笑いと涙の爆笑・夫婦漫才」。そして裁判官として事件と向き合う人間的な思いや悩みの数々。

 こんな裁判官ばかりだったら、裁判は私たちに身近になり、信頼できるものになる、と思わせてくれる書籍です。裁判員制度が始まり、法廷で裁判官と対話ができるようになりました。裁判員制度を機能させより良いものにする、そして、あるべき裁判制度にするのは私たちです。本書で法廷の外の生身の裁判官像に接することは、法廷でも裁判官に遠慮なく率直に議論するためにも役立つでしょう。

【書籍情報】編著者 日本裁判官ネットワーク 日本評論社 2001年9月(定価 本体価格1,700円+税)

<事務局より>
法学館憲法研究所は、「日本裁判官ネットワーク」に参加している裁判官を含む現・元裁判官の連続講演会を開催中です。次回は、8月28日に大阪会場で、小林克美裁判官と和田忠義元裁判官の講演会が行われます。小林裁判官は現役で、本書にも2回登場しています。

詳しくはこちら
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