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書籍『監視社会の未来―共謀罪・国民保護法と戦時動員体制』

K・T

“安心・安全”“国民保護”を口実とした国民監視・動員システムづくりが、現代日本で着々と進行している―という情勢認識を踏まえ、著者纐纈厚教授(山口大学、関連情報)は、執筆意図を次のように述べています。「本書は監視社会がいったいどのような過程を経てつくられ、実際にどのような法整備とその施行によって国民を監視し、国民を動員するに至るのかを戦前の事例を検証しながら捉え直そうとするもの」(p.14)。

本書は、
序 章 蘇る?監視社会
第T章 有事法制と現代版総力戦体制
第U章 戦前の国民監視システム
第V章 軍機保護法の変遷と防諜政策の展開
第W章 戦時下の防諜機構と国防保安法の成立
第X章 国民保護法という名の“国民監視・動員法”
終 章 国民保護法は何を“保護”するのか
と構成されています。第T章と第X章で、現代の“総力戦体制”を特徴づける有事法制との関連で国民保護法がとりあげられ、第U章から第W章までは、戦前の“国民監視法”ともいうべき軍事機密保護法・国家保安法を中心に、その成立過程から実際の適用事例に至るまでが詳細に分析されています。

冒頭引用したとおり本書では現代日本の“監視社会”が歴史的視点から検証され、現代の監視・動員システムを、戦前と同質であっても、同一ではない、とみるところに特徴があります。戦後日本の再軍備過程で、極秘裏に進められていた有事法制研究(通称“三矢研究”)は、当時国民の厳しい批判にさらされました。また、1985年に国会に提出された国家機密法(スパイ防止法)案は、廃案となっています(ただし、01年の自衛隊法改正時に、機密法案の一部と同趣旨の防衛秘密規定が盛り込まれた)。
そこで、機密保護ではなく、国民保護が目的なのだという装いをこらした国民保護法が登場した、とみるのはうがち過ぎでしょうか。しかしここに、以前当欄でご紹介した書籍『有事法制がまちにやってくる―だれをまもる国民保護計画?』で検証されているとおり、国民保護法の運用如何で地方自治体が地域住民とともに非戦・平和の道を追求し、地方自治体の自主性・自律性を発揮する余地も生まれ得るのだと考えることもできるでしょう。

その一方で、冷戦終結後の世界におけるテロの勃発や無差別殺人のような犯罪行為などを背景とした国民の“不安感”を逆手にとって、“安心・安全確保”を前面に掲げた治安政策の危険性も決して看過できません。巧妙に仕組まれた“治安政策”の真のねらいを見抜くことが必要になります。いうまでもなく、見抜くための最適の物差しは、日本国憲法です。

当研究所の第2回公開研究会「治安政策と憲法」(7月25日)(詳しくはこちら)も、この問題を深く掘り下げる機会となるでしょう。併せてご案内します。

【書籍情報】纐纈厚著 小学館 2007年9月刊行 (定価 本体2,000円+税)

※纐纈厚教授の著作、有事法制に関わる書籍・文献は当サイト「憲法文献データベース」で検索できますので、ご案内します。

 

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