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座談会「『平和的生存権』その到達点とこれから」(「法と民主主義」2009年5月号所収)

K・T

「法と民主主義」2009年5月号の特集T「『平和的生存権』その深化を問う」に収められた座談会「『平和的生存権』その到達点とこれから」をご紹介します。本年4月15日に行われ、出席者は内藤功弁護士、小沢隆一教授(東京慈恵会医科大学、関連情報)、原田敬三弁護士、大久保賢一弁護士(関連情報)、そして澤藤統一郎弁護士(司会者、関連情報1関連情報2関連情報3)の5名の方たちです。

座談会は、
第1部 平和的生存権論の到達点の確認をテーマとして、小沢隆一教授、内藤功弁護士が報告し、討議
第2部 平和的生存権論の到達点を踏まえた今後の課題と展望をテーマとして、原田敬三弁護士、大久保賢一弁護士が報告し、討議
と進められています。

この座談会が、イラク派兵差止訴訟における名古屋高裁判決(2008年4月17日、関連情報1同2 )と岡山地裁判決(2009年2月24日)の成果を踏まえていることはいうまでもありません。しかしこの二つの判決は、何もないところからいきなり浮上したわけではありませんでした。そのことが、座談会全体を通して確認されます。平和的生存権の内容が、「裁判を通じて、また裁判にかかわる学者の理論構築を通じて深化してきた」こと、それを促したのは「平和運動が裁判を通じて平和主義の理念を高らかに掲げてきた」こと(小沢隆一教授報告より)。日本において“平和”を単なる国の政策としてではなく、“人権”として捉える意識が育っていったのは、まさに裁判闘争を通してであったことは、恵庭・長沼(関連情報。尚、長沼訴訟第1審裁判長福島重雄氏ら元判事に語っていただく講演会について、詳しくはこちら)・百里基地訴訟などの歴史が物語っています。

これらの「被害を受けている者が闘う」(内藤功弁護士)裁判の蓄積の上に、「イラク訴訟はイラクの人の苦しみを自分の苦しみとして訴えるという、おそらく初めての裁判」(同)が生まれ、この点をどう発展させるかが課題である、という発言に呼応して、原爆症認定裁判の埼玉訴訟弁護団長を務める大久保賢一弁護士は、被爆者の思いはこの被害はわれわれだけにしてほしい、ということにあり、「その悲惨な体験をいわば普遍のものとして、核兵器をなくしていくという思想を持ち得た」と語っています。
日本国憲法の内実を豊かにしてきたのは、裁判闘争とそれを支える学説の深化であり、それが、今生きている日本国民にとどまらず、国際的に、また将来的に影響を及ぼすのだということを改めて心に刻むべきでしょう。

当研究所は、平和的生存権をはじめ日本国憲法に記された基本的人権の理念を訴訟の場でより豊かに深化させ、具体的権利として権力者に守らせるために、憲法関連訴訟の学術的支援を行う業務をすすめます。あわせてご案内いたします。

尚、「法と民主主義」2009年5月号には、以下の論文が所収されています。
特集T「『平和的生存権』その深化を問う」所収論文
:「歴史への証言―『長沼事件 平賀書簡―35年目の証言』を読む」新井章弁護士
:「生存権と太くつながっている」毛利正道弁護士(関連情報
特集U「自衛隊のソマリア派兵を問う」所収論文
:「特集Uにあたって」清水雅彦教授(札幌学院大学、関連情報
:「今なぜ自衛隊のソマリア派兵か」内藤光博教授(専修大学)
:「自衛隊の海賊対処における武器使用と武力行使」浦田一郎教授(明治大学、関連情報1関連情報2
:「放棄された文民統制」半田滋氏(関連情報1関連情報2
:「ソマリアの人々に希望の未来を―国際法の意義と可能性」藤本俊明氏
:「海上保安庁の『軍隊化』―『海』で進む『軍事と治安の融合化』」清水雅彦教授(同上)
:「講演・田母神論文・ソマリア派兵からわかる自衛隊の危険な変貌」山田朗教授(明治大学、関連情報1関連情報2

【記事情報】「法と民主主義」2009年5月号(No.438)特集「日本の人権状況を検証する」日本民主法律家協会

※「平和的生存権」などに関わる文献は、当サイトに搭載している「憲法文献データベース」で検索できますのでご案内します。

 

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