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特集『ソマリア派兵の真の狙い』(「マスコミ市民」2009年4月号所収)

H・T

 アフリカ・ソマリア沖の海賊対策と称して、3月14日、海上自衛隊の護衛艦2隻が出航し、現地で活動を始めました。自衛隊法82条の「海上警備活動」によるものです。さらに、この自衛隊法では十分な活動ができないとして、「海賊行為の処罰及び海賊行為への対処に関する法律」案が今国会で審議中で、最大の重要法案と言われているにもかかわらず、先週まともな審議もなく、衆院本会議を通過して参院に送られました。

 本特集は、自衛隊の派兵の狙いを論じ、9条の空洞化が一層進行することに強い警鐘を鳴らしています。筆者は、伊藤成彦氏(中大名誉教授)、平岡秀夫氏(衆院議員)、野崎哲氏(社民党政策審議会事務局次長)です。論旨は重なる部分が多いので、まとめて紹介させていただきます。

 現に依拠して活動中の「海上警備活動」自体、日本の「領海内において」「海上保安庁のみによっては対処できない事態」を想定したものであるこことに鑑みると、明らかに法の趣旨を逸脱したものであると指摘されています。

 新法については、@まず、海外国籍の船舶を守ることは集団的自衛権の行使に向けた布石として違憲の問題が生じること、A停船命令に応じない「海賊船」に対して重火器による船体射撃などの武器使用を認めることは、これまでの武器使用の基準を超えて「治安維持」に広げ、武器の先制使用を新たに認めることになること、Bソマリア沖での活動について国会が全く関与しないで命令が出せること、C期間の限定がないことなど重大な問題点が論じられています。

 警察活動であるこの種の問題については海上保安庁の管轄であり、同庁はイージス艦に迫る強力な火力を有する巡洋艦等を有し、近年東南アジアで海上保安庁が推進してきた各国軍艦との連携で顕著な実績を上げていること、海賊が主として出没するイエメン沖を管轄する同国は自衛隊の派遣を期待していないこと等を考慮すると、解釈改憲の冒険を冒してあえて自衛隊を派兵する必要があるのか、疑問が示されています。

 結局、新法は、自衛隊の海外派兵と武器使用を恒常化することに狙いがあるのではないかという問題が、わかりやすく解説されています。

【論文情報】「マスコミ市民」2009年4月号(No.483) 発行 NPO法人マスコミ市民フォーラム 680円

 

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