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特集「日本の人権状況を検証する―自由権規約委員会の最終見解をどう活かすか」

K・T

「法と民主主義」2009年2・3月号に掲載された本特集をご紹介します。この特集は、国連自由権規約委員会が2008年10月30日日本国政府の第5回定期報告に対する審査後に公表した最終見解(総括所見)を踏まえて、国際水準からみた日本の人権状況を改めて問い直すものです。

自由権規約締約国は、本来5年ごとの定期報告を義務づけられているところ、日本は第4回定期報告の後、実に10年ぶりの提出であることひとつとっても、日本政府の“お粗末さ”がうかがえますが、今回の総括所見に記された勧告もこれまでの度々の勧告の繰り返しであり、「審査のなかで二度と同じことを言わせないで欲しいといった専門委員の発言」(p.6)が、国際人権活動日本委員会議長を務める鈴木亜英弁護士の本特集冒頭論稿「総括所見への経緯と概観―裁判官等に対する人権教育と個人通報制度をめぐって」中で紹介されるなど、「日本政府が規約の実施義務をいかに怠ってきたか」(p.4 同)が厳しい批判にさらされていることが如実に示されています。
一方、京都学園大学専任講師の西片聡哉さんの論稿「日本の法秩序における自由権規約の効力と適用」では、日本国憲法98条2項にもとづき国内法としての効力を有する自由権規約の、国内の裁判における適用状況が考察されています。様々な事例の検証から、下級審を中心に先駆的な自由権規約の活用がみられても、全体としてはその解釈・適用に消極的な裁判所の姿勢が明らかにされ、現状打開の方向性として個人通報制度の導入と国内法の整備について言及されています。
また、新倉修青山学院大学教授(関連情報)は、論稿「人権国家モデルは人権制約条件を乗り越える―総括所見を活用して」において、 “公共の福祉”論が人権制約理論として機能する日本の人権状況を、国際水準から見直すことで、人権の促進と保護を目指す国民主体の統治機構を備えた「人権国家モデル」を措定し、その実現可能性を示唆されています。

その他本特集では、「代用監獄制度」(田鎖麻衣子弁護士)、「死刑廃止問題」(小川原優之弁護士)、「戸別訪問禁止(公選法・大石事件)」(河野善一郎弁護士:関連情報)、「葛飾ビラ弾圧事件」(寺院住職・荒川庸生氏)(関連情報)、「日本軍による『慰安婦』問題」(大森典子弁護士)(関連情報)、「日の丸・君が代強制問題(関連情報)」(彦坂敏之弁護士)、「人権教育問題」(渡邊弘・活水女子大学講師)、「総括所見の活用問題」(伊賀カズミ・日本国民救援会中央本部副会長)など、国内における人権侵害状況にかかる問題提起と実践課題についての論稿が収載されています。

本特集全体を通して、人権侵害状況に対する訴訟活動において、自由権規約の条文を積極的に生かし、規約違反そのものを裁判所に問う創造的な試みが、憲法の内実をより豊かにし憲法理念の実現に導く判例への道筋を切り開いていることに気づかされます。
裁判員制度導入ひとつとっても、今、日本の司法のあり方は一つの曲がり角を迎えているのかもしれません。法学館憲法研究所は来月より連続講演会「日本国憲法と裁判官」を開催します。これも、憲法理念を裁判の場で活かすことをめざしてこられた元裁判官の方々のお話を伺うことで、日本国憲法の立場から司法を見直す機会となるでしょう。乞うご期待。

【論文情報】「法と民主主義」2009年2・3月号(No.436)特集「日本の人権状況を検証する」日本民主法律家協会

*「人権」や「国際法」などに関わる文献は当サイトに搭載している「憲法文献データベース」で検索できますので、ご案内します。

 

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