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論文「ドイツにおける国家緊急権と有事法制」

T・S

今、ソマリア沖への海上自衛隊派遣や北朝鮮のミサイル発射問題に対する日本政府と自衛隊の対応を見たとき、それを第二次世界大戦での同じ敗戦国・ドイツの有事体制の推移と現状とも対比しながら検討することも重要だと思います。
法律時報 2002年増刊号 「憲法と有事法制」に掲載された石村修・専修大学教授の論文があります。
ドイツでは「冷戦」下で有事体制が再生されましたが、立法権や司法権の監督のもとに、執政権にフリーハンドを与えないように、法整備と仕組みを築きあげてきました。そして、「冷戦」終了後は「同盟国」から期待される役割が東西対決の最前線から新たな他国の紛争への対処と変化します。
その経緯の中で、立法権や執行権の誤りを連邦憲法裁判所が修正することが機能してきました。その根底には立憲民主主義の思想が強くあることが日本との大きな違いであると思われます。
 いま日本もドイツも「同盟国」から海外での活動の拡大が求められています。これまでドイツは海外での平和維持活動などが、しばしば連邦憲法裁判所でチェックされてきました。アメリカによるドイツ国内への核搭載可能ミサイルの配備・空中早期警戒管制機の海外配備の合憲性、ソマリア派兵などに関する統治行為・政府権限の合憲性、海外派遣の連邦政府の単独決定権の可否、議会の同意の必要性などが問われてきました。
ドイツはNATOの活動に参加している反面、平和を実現する外交として、戦後補償を重視し、新たに強制労働への補償基金を作り、環境政策の重視を謳い、人道的な国際貢献によって、武力によらない有事への対応も合わせて進めています。これらは戦後補償などに対して消極的な日本政府の姿勢とは、格段に違うものです。
ドイツの国家・法制度、軍事外交は手放しで評価できるわけではありませんが、立憲民主主義や平和貢献など日本が見習うべきことが多くあると思われます。
米軍のイラク戦争を支援することはできないとし、軍の命令を拒否し、軍によって降格処分を受けたドイツ連邦軍少佐が、連邦行政裁判所で軍の命令を拒否する権利を認められました。軍人にもこのような権利が認められる背景には上記のようなドイツ社会の立憲民主主義と平和主義があると思われます。この論文を読み、このように感じました。

法学館憲法研究所は、上記のように軍の命令を拒否する権利を認めさせたドイツ連邦軍少佐・フローリアン・パフさんの講演会(詳細はこちら)を開催します。パフさんの経験と考えを聴くことによって、日本社会と自衛隊というものの見方への新たな示唆を受けること間違いありません。多くの方々にご参加いただければと思います。

講演会「軍人の抗命権・抗命義務 ―イラク戦争への加担を拒否した連邦軍少佐に聞く―」

【日時】 2009年4月18日(土)
     14:00      開会
     14:10〜14:40  水島朝穂早稲田大学法学学術院教授による概説
              「ドイツ連邦軍の海外派遣をめぐる法的諸問題」
     14:45〜16:00  「侵略戦争を拒否する義務」ドイツ連邦軍少佐 フローリアン・パフ
                通訳 市川ひろみ(今治明徳短期大学教授)
     16:10〜17:00  質疑応答
     17:00      閉会
【会場】 伊藤塾東京校(伊藤塾東京校(03-3780-1717。JR渋谷駅南改札西口より徒歩3分)
【参加費】1000円(法学館憲法研究所賛助会員・伊藤塾塾生・学生は500円)
【主催】 法学館憲法研究所

*講演会への参加は事前予約制とします。参加希望者は事前にメールもしくはファックスにてお申込ください。定員に達し次第締め切ります。
 メール info@jicl.jp  
 ファックス 03-3780-0130

<講師紹介>
フローリアン・パフFlorian D. Pfaff 
1976年ドイツ連邦軍に徴集兵として入隊。その後、職業軍人となり現在は少佐。国際人権連盟Internationalen Liga fuer Menschenrechteよりカール・フォン・オシエツキー賞Carl-von-Ossietzky-Medaille(2006年)、ブュルテンベルク福音教会同盟Offenen Kirche より市民的勇気を称える賞AMOS-Preis(2007年)、世界市民連合Association of Word Citizensより世界市民賞World Citizen Award(2008年)を受賞。「制服を着た市民」を理念とする軍人による団体ダルムシュタット・シグナルの一員として活動中。著書Totschlag im Amt: Wie der Friede verraten wurde, HWK Verlag, 2008.

*有事法制や自衛隊海外派遣、ドイツの法制などに関わる論文・書籍は当サイトの憲法文献データベースでも検索できますので、ご案内します。

 

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