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書籍『兵役拒否の思想 − 市民的不服従の理念と展開』

H・O

 2003年4月、ドイツ連邦軍少佐フローリアン・パフさんは米軍のイラク戦争を支援することはできないとし、軍の命令を拒否し、軍によって降格処分を受けました。パフさんは裁判所に提訴し、2005年6月、連邦行政裁判所は軍の命令を拒否する権利を認めました。
 上記は「序章 命令に従わない兵士」の冒頭に紹介されています。ほとんどの人は、軍隊における命令は絶対であると思っているのではないでしょうか。ところが、パフさんは命令に従いませんでした。驚きです。そして、裁判所も軍人が軍の命令を拒否する権利を認めたことにも仰天します。
 昨年、自衛隊航空幕僚長の田母神俊雄空将が過去の日本の対外侵略を美化する「論文」を発表しました。日本では自衛隊幹部が政府見解にも反する言説を唱えることはあっても、隊員が自衛隊の命令に異議を唱えることはめったにありません。専守防衛という建前をかなぐり捨て、海外の戦地にまで派遣されるようになった自衛隊を辞職する隊員はいても、自衛隊の海外派遣自体に異議を唱える隊員の姿は見えません。そこには、上官の命令への絶対服従が求められた旧日本軍の組織原理が厳然と残っていると思われます。
 ドイツの場合、ナチス・ドイツ時代の国防軍の反省から、軍隊の独走を許さない状況があります。軍人に軍の命令を拒否する権利を認めるのもその考え方が反映していると思われます。そして、その背景には戦前の侵略戦争とその体制を反省する国民意識があると思われます。そこに日本との大きな違いがあるのではないでしょうか。一人ひとりの国民がそのことをどう考え、どう行動するのかが問われるのではないでしょうか。
 下記の通り、法学館憲法研究所は上記フローリアン・パフさんの講演会を開催します。パフさんの経験と考えを聴くことによって、日本社会と自衛隊というものの見方への新たな示唆を受けること間違いありません。多くの方々にご参加いただければと思います。
 この本はアメリカやイスラエルにおける軍人の兵役拒否の例なども示しながら、兵役拒否の思想と意義を説く書です。日本国憲法第9条を変え、日本で再び軍隊を創設しようという動きがある中で、軍隊と兵役について考えることはいよいよ重要でしょう。


講演会「軍人の抗命権・抗命義務 ―イラク戦争への加担を拒否した連邦軍少佐に聞く― 」

【日時】 2009年4月18日(土)
14:00 開会
14:10〜14:40  水島朝穂早稲田大学法学学術院教授による概説
「ドイツ連邦軍の海外派遣をめぐる法的諸問題」
14:45〜16:00  ドイツ連邦軍少佐 フローリアン・パフ
               「侵略戦争を拒否する義務」
通訳 市川ひろみ(今治明徳短期大学教授)
16:10〜17:00  質疑応答
17:00 閉会
【会場】 伊藤塾東京校(伊藤塾東京校(03-3780-1717。JR渋谷駅南改札西口より徒歩3分)
【参加費】1000円(法学館憲法研究所賛助会員・伊藤塾塾生・学生は500円)
【主催】 法学館憲法研究所

*講演会への参加は事前予約制とします。参加希望者は事前にメールもしくはファックスにてお申込ください。定員に達し次第締め切ります。
メール info@jicl.jp  
ファックス 03-3780-0130

<講師紹介>
フローリアン・パフFlorian D. Pfaff 
1976年ドイツ連邦軍に徴集兵として入隊。その後、職業軍人となり現在は少佐。国際人権連盟Internationalen Liga fuer Menschenrechteよりカール・フォン・オシエツキー賞Carl-von-Ossietzky-Medaille(2006年)、ブュルテンベルク福音教会同盟Offenen Kirche より市民的勇気を称える賞AMOS-Preis(2007年)、世界市民連合Association of Word Citizensより世界市民賞World Citizen Award(2008年)を受賞。「制服を着た市民」を理念とする軍人による団体ダルムシュタット・シグナルの一員として活動中。著書Totschlag im Amt: Wie der Friede verraten wurde, HWK Verlag, 2008.


【書籍情報】2007年12月、明石書店から刊行。著者は市川ひろみ・今治明徳短期大学教授。定価(本体2800円+税)。

*当サイトの「憲法文献データベース」では様々な憲法関連文献を検索できます。「兵役」や「軍隊」に関わる書籍・論文も検索できますので、ご案内します。

 

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