法学館憲法研究所は、憲法を系統的に研究し、個人の尊厳の実現をめざす非政府組織としての自由な研究機関です

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書籍『憲法絵本―生きる!生かせ!日本国憲法』

K・T

本書は本年2月に花伝社から刊行されました。印象深い絵と共に、日本国憲法が私たちの暮らしとのかかわりで描かれています。市井に生きる人びとの等身大の目線が、憲法を身近なものに感じさせます。

同時に、次のようなくだりに出会うと、はっとさせられる新鮮な目線を感じます。
13条の条文に付された文章と絵は、住民基本台帳ネットワークと、ナチスドイツの強制収容所における被収容者への入れ墨による番号刻印とがシンクロナイズしています。アウシュビッツと思しき建物と国会議事堂、腕に刷り込まれた番号。“公共の福祉”の曲解を通して、“個人の尊重と幸福追求権”のなしくずしを狙う権力の意図が浮き彫りにされます。
また、21条では沖縄「集団自決」の、23条では従軍「慰安婦」の、教科書からの削除・歴史認識にかかる問題がとりあげられます。ご存知のとおり、21条は“集会・結社・表現の自由、検閲の禁止、通信の秘密”、23条は“学問の自由”に係る条文です。こうした条文についても、過去の戦争に対する教訓がその基底をなしているのだということを、忘れてはならないとの思いが滲み出ています。
この他にも、30条“納税の義務”・85条“国費支出と国の債務負担”で軍事(防衛)予算と米軍への思いやり予算の問題が、81条“法令等の審査権”で自衛隊海外派兵問題がとりあげられるなど、憲法各条文を戦争と平和の問題とのかかわりで捉える視点、戦争と平和の問題は基本的人権の根底をなしているのだと捉える視点、その例は枚挙に暇がありません。

日本国憲法は、前文と9条が平和主義の理念を表しているのみならず、その全てにわたって平和主義と人権尊重の理念に貫かれているということを、改めて想起させてくれるのが本書です(当サイト「日本国憲法の逐条解説」をご参照ください。また、この逐条解説を美しい写真とともに1冊にまとめた書籍『伊藤真・長倉洋海の日本国憲法』も当研究所で扱っています)。“生きる!生かせ!”日本国憲法、まだまだその“生かし”方に可能性があることを本書は物語っています。
本稿筆者の個人的嗜好では、99条の絵に惹かれました。太くそびえる9の文字二つが国会議事堂をはさみ、笑顔をこちらに向けた市民が手をつないでその周りをぐるりと囲む絵です。“憲法尊重擁護義務”の意味するところがよく伝わってきます。市民と憲法のかかわりを再度確認するうえでも、講演の夕べ「『戦争をしない国』日本の“いま”」をあわせてご案内します。

ところで、本書表紙に描かれた赤い“9”の意匠、お気づきになったでしょうか。法学館憲法研究所双書『憲法9条新鮮感覚―日本・ドイツ学生対話』でご覧になった方もいらっしゃるのではないでしょうか。『憲法9条新鮮感覚』のイラストを担当されたのが、本書著者橋本勝さんです。

【書籍情報】絵と文:橋本勝 花伝社 2009年2月刊行 (定価 本体1,500円+税)

 

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