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書籍『加藤周一対話集6 ―憲法・古典・言葉』

K・T

去る12月5日、「九条の会」呼びかけ人のお一人であった加藤周一さんが永眠されました。先週14日には、NHK教育テレビETV特集でも、加藤周一さんの追悼番組が放映されています。そこでは、今年7月に行われた加藤さんへのインタビューをもとに、著書『言葉と戦車』をベースに1968年の出来事を40年後の今日の視点でその意味を辿りながら、“言葉の力”、正義を求める“学生の力”に確信を抱く氏の想いが織り成されていました。あらためてご冥福を祈ると共に、加藤周一さんが、私たちに語り伝えたかったことを、心に刻むため、本年2月に刊行された本書をご紹介したいと思います。

本書は、かもがわ出版より刊行されている『加藤周一対話集(全6巻)』の最終巻にあたります。以下の内容で構成されています。

三酔人 前口上  一海知義 奥平康弘 
T 私たちはまだ、自由を手にしていない  樋口陽一
  歴史に正対しなければ、未来はない  後藤田正晴
  転換期―世界の中の日本  都留重人
  揺らぐ「自由」―議論尽くすとき  藤原帰一
U 詩の言葉、変遷する日本語  谷川俊太郎  田 原
  言葉との格闘―漱石の『明暗』について  石原千秋 小森陽一
  「日本 その心とかたち」をめぐって  高畑勲
  教育の再生  今道友信
  補遺 日中の相互理解ということ〔インタビュー〕  彭佳紅
あとがき

あとがきで著者ご自身が述べておられるように、本書は“最近の対話集”であり、ここに収められた対談の初出は、いずれも21世紀に入ってからのものばかりです。
対話の企画者が初めから、後に1冊にまとめることを意識して話題を択んだわけではないにもかかわらず、「読み返してみて、話題が三点(註 『憲法・古典・言葉』の三点)に集中する傾向がはっきりあらわれていることに私自身がおどろいた。」(p.302)そして、それは、分野を超えた同時代人の意識が、中心的な関心を共有していたからであろうと。

その“中心的な関心”が、第一部では、議会内では改憲支持が多数・議会外では改憲反対が賛成を上回るという“ねじれ”現象を背景にした日本の政治経済に焦点を、第二部では、“古典と日本語殊に詩の言葉”をめぐる対話に焦点を、結んでいます。
第1部冒頭の対談は、既に当欄対談「私たちはまだ、自由を手にしていない」でご紹介しましたので、それ以外の対談をみていきますと、例えば後藤田正晴さんとの対談では、「憲法というのは、(中略)国民が政府権力を縛るもの(中略)、その論理を国際関係に延長」して「武力解決に歯止めをかけ」る。都留重人さんとの対談では、小泉“改革”に触れて「流れの方角を変えなきゃあ『改革』じゃないですよ」。などの言葉にめぐりあえます。そして国際政治学者の藤原帰一さんとの対談で語られた「(戦時中の)知的拷問」という言葉。「戦時中は(中略)最小限度の知的正直さが侵される苦しい経験をした」ことが、加藤周一さんの原点だったのだと痛切に思い知らされるのです。

だからこそ、今を生きる若者に、“損得をこえた正義感をもつ若者と、戦前戦中の経験をもつ老人との同盟”を力強くよびかけられたのでしょう。
『憲法9条新鮮感覚―日本・ドイツ学生対話』は、そんな加藤周一さんの呼びかけで生まれた書籍です。あわせてご案内します。

【書籍情報】加藤周一著 かもがわ出版 2008年2月(定価 本体価格2,800円+税)

*故・加藤周一さんの憲法関連の著作は法学館憲法研究所「憲法文献データベース」で検索できますので、ご案内します。

 

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