法学館憲法研究所は、憲法を系統的に研究し、個人の尊厳の実現をめざす非政府組織としての自由な研究機関です

法学館憲法研究所

Mail info@jicl.jp
 
今週の一言
憲法情報Now
 憲法をめぐる動向
 イベント情報
 憲法関連裁判情報
 シネマ・DE・憲法
 憲法関連書籍・論文
 ■今日は何の日?
憲法Voice
研究所・客員研究員紹介
中高生のための憲法教室

憲法文献データベース
日本国憲法全文
リンク集
 
事務局よりお知らせ
賛助会員案内
メールマガジン
ご意見フォーム
サイトマップ

憲法情報Now<憲法関連書籍・論文>

 

書籍『住民自治・地方分権と改憲 ― 地域社会の再編に抗して』

H・O

 北海道・夕張の財政破綻の深刻さには多くの国民が驚かされることになりました。地方自治体が無駄な出費を抑え、財政を健全化させるべきことは当然です。しかし、そう単純なことではないようです。
こんにち、どの地方自治体も政府からの地方交付税を大幅に削減され、その結果多くのところで住民サービスが低下しています。大阪府の状況もよく耳にします。ところが、こうした事態は、憲法との関連で、あるいは憲法「改正」問題との関連ではあまり理解されていないのではないでしょうか。本書は、いま地方自治体で起こっていることとその背景には憲法「改正」問題が深く結びついていると警鐘をならすものです。
この間政府は地方自治体財政の見直しをはかっています。政府の権限と財源の地方への委譲の内容は分野ごとに多様な状況になっていると思われますが、その動向には、財政的に「小さな政府」にしつつ、政府による経済活動への規制を緩和しようという、いわゆる新自由主義政策の推進をめざす財界の意向が大きく反映していると思われます。この間市町村合併が大規模にすすめられたのも、基本的にはそのためだったと言えましょう。
「道州制」導入の検討も新自由主義政策の一つと分析されます。同時にそれは、単に都道府県を統合するだけのことではなく、政府の役割を外交や軍事に特化させ、福祉などについては地方政府にあたらせようという、国の姿の全面的な再編成を目指すものと思われます。このことにも警戒する必要があるでしょう。
 「地方の時代」「地方分権」という言葉をよく聞くようになりましたが、その中身は何なのかが吟味されなければなりません。いま財界とその意向を受けた政治家たちが憲法「改正」を主張しているのは、日本を新自由主義的に再編していくためであり、だとすれば新自由主義的な再編によって生じている地方自治体における住民サービスの低下などをもっと告発していく必要があるでしょう。そうした世論と運動の広げることも憲法「改正」反対の運動の課題になるでしょう。本書を読み、こうしたことを考えさせられました。おすすめの本です。

目次は次の通りです。
◆目次
まえがき
第1章 改憲と道州制●進藤兵
第2章 新自由主義的「改革」と地方分権●白川真澄
第3章 「有事法制」「国民保護法制」と地方自治・住民の権利●清水雅彦
第4章 小・中学校は教育福祉の根幹――対人関係力・公共性(自治の力)を育む地域の学校として●池田祥子
第5章 沖縄の自治と憲法改正●島袋純
第6章 北海道におけるアイヌ民族との共生のために――さっぽろ自由学校「遊」の活動から●小泉雅弘

【書籍情報】2008年8月、現代企画室からシリーズ「改憲」異論の第5弾として刊行。ピープルズ・プラン研究所編。定価1000円+税。

 

[今週の一言][憲法情報Now][中高生のための憲法教室][憲法文献データベース][事務局からのお知らせ]
[トップページ]