法学館憲法研究所は、憲法を系統的に研究し、個人の尊厳の実現をめざす非政府組織としての自由な研究機関です

法学館憲法研究所

Mail info@jicl.jp
 
今週の一言
憲法情報Now
 憲法をめぐる動向
 イベント情報
 憲法関連裁判情報
 シネマ・DE・憲法
 憲法関連書籍・論文
 ■今日は何の日?
憲法Voice
研究所・客員研究員紹介
中高生のための憲法教室

憲法文献データベース
日本国憲法全文
リンク集
 
事務局よりお知らせ
賛助会員案内
メールマガジン
ご意見フォーム
サイトマップ

憲法情報Now<憲法関連書籍・論文>

 

書籍『外国ジャーナリストが語る 海外から見た憲法9条』

K・T

本年5月、幕張メッセで行われた9条世界会議において、草の根9条の会・日本機関紙協会・日本機関紙協会埼玉県本部の三者が主催した自主企画シンポジウム「外国ジャーナリストが語る 海外から見た憲法9条」が、一冊の本になりました。
シンポジウムの内容を、その熱気を、場内で共にすることができなかった人たちにも広く伝えたい、という主催者らの真摯な思いが、漲る一冊です。序文には「草の根メディア9条の会」よびかけ人の一人である作家の森村誠一氏のメッセージ「人間性を護る運動」も寄せられています。

当シンポジウムのシンポジストは、符祝慧(フー・チュー・ウェイ)さん(シンガポール『聯合早報』東京特派員、当サイト「今週の一言」・「日本での憲法『改正』の動きへのアジアの人々の不安」)、ゲプハルト・ヒールシャーさん(ドイツ『南ドイツ新聞』元極東特派員)、ジャン・ユンカーマンさん(『映画 日本国憲法』監督、9条世界会議よびかけ人、当サイト「今週の一言」・「戦争が終わるとたんに忘却が始まる」)、のお三方です。そして、コーディネーターを務められたのは杉田明宏さん(大東文化大講師、当サイト「今週の一言」・「新地平をめざす『2008平和のための埼玉の戦争展』へお出かけください」)。シンポジストの出身国は、アジア、欧、米とさまざまですが、お三方とも長く日本に住んでおられ、何よりメディア人として日本に関わってこられたという共通項をお持ちです。
シンポジウムは冒頭、コーディネーターからの“戦争放棄・戦力不保持・交戦権否認の9条がありながら、世界有数の軍事力を持ちアメリカの強力なパートナーをうたう日本の現実の矛盾を見据え、海外の視点を交差させながら矛盾の解消の仕方を探る”という問題提起に基づき論議が展開されます。

中にはショッキングな発言も、あります。ドイツ人ジャーナリスト・ヒルシャーさんから、現状の矛盾の解消策として「9条の内容を国際法と同じような程度まで」、すなわち国際法の枠内で自衛権行使の軍隊保持を認めるという手直しをしてもいいのでは、という趣旨の提案がありました。おそらくシンポジウム会場にも緊張が走ったのではと、つい想像を逞しくしてしまいます。
第二次大戦後、加害国としての責任を果たすために自ら厳しい措置をとり、周辺国との信頼関係を築いた上で、憲法改正も行い再軍備の道を歩んできたドイツという国の背景と同時に、9条改変の是非はともあれ、「権力が憲法をないがしろにする状態を放置してはならない」という強い考え方があることをも伺わせます。(ドイツと日本の相違点についての理解を深めるのに、当研究所発行書籍『憲法9条新鮮感覚―日本・ドイツ学生対話』を併せてご案内します。)

一方、アジアの人たちは日本をどう見ているか。符祝慧さんのお祖母さまは、湾岸戦争時シンガポールに立ち寄った自衛隊の姿にとても慌てて「日本軍がまた来た!」と仰ったそうです。この一言に、アジアの人の思いが込められています。今、国際法の一歩先を行く日本国憲法9条の価値を、世界の人々に胸を張って伝えるためにも、日本は先の戦争における加害国としての責任を明確にし、謝罪しなくてはならない。それなくしては “9条は形だけではないか”というアジアと世界の不信の眼差しを払拭することはできない。そのことを痛感します。

本書脚注には、適切な資料と豊富な写真が手際よく盛り込まれています。本稿筆者が本書編集に携わられた「草の根メディア9条の会」よびかけ人で日本機関紙協会埼玉県本部にお勤めの二橋元長さんに直接伺ったところによると、この脚注は25年にわたる「平和のための埼玉の戦争展」の蓄積に与るところが大きい、との由。本書のご一読をお薦めします。
(本書に関するお申込・お問合は、〒330-0063さいたま市浦和区高砂2-3-10黒澤ビルTEL:048-825-7535日本機関紙協会埼玉県本部まで ホームページはこちら

【書籍情報】「9条世界会議」自主企画 外国ジャーナリストが語る 海外から見た憲法9条 編集発行:草の根メディア9条の会/日本機関紙協会/日本機関紙協会埼玉県本部 頒価1,000円

 

[今週の一言][憲法情報Now][中高生のための憲法教室][憲法文献データベース][事務局からのお知らせ]
[トップページ]