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書籍『活憲の時代―コスタリカから9条へ(こころを熱くする伊藤千尋・講演集(1))』

K・T

以前当サイトにもご登場いただいた、本書著者伊藤千尋さん。当サイト「今週の一言」「『活憲』を楽しくやろう(要約版)〜特派員の眼で見る憲法9条」でも述べておられるとおり、“運動は楽しくやらなくては。楽しくやることがエネルギーになる”というご自身の持論を、まるごと実践されているのが本書です。朝日新聞記者として世界65カ国を取材され、ピノチェト独裁政権時代のチリを初め特派員経験も豊富な伊藤さんの、縦横無尽の活躍ぶりが本書に結実していることは、いうまでもないでしょう。

シネ・フロント社から刊行された本書は、
第1章 活憲の時代―コスタリカから9条へ
第2章 戦後責任をどう果たすか―『白バラの祈り』より
第3章 どんな社会を目指すのか―『シッコ』より
と構成され、第1章は2007年から2008年3月まで、全国各地で行われた「憲法」に関する講演を、第2章は2006年11月、シネマサークルおがわ主催『白バラの祈り―ゾフィー・ショル最期の日々』上映会での講演を、第3章は2008年3月、東京・狛江良い映画を観る会主催『シッコ』上映会での講演を、それぞれまとめたもの。

何よりもまず、伊藤千尋さんの活き活きとした語り口に魅了されます。実は本書に収録された講演録の元になった講演会に、本稿筆者も参加して一聴衆としてお話を伺ったことがあります。伊藤さんの話される一言ひと言が意外性に満ち、笑ったり、驚いたり、会場は沸きかえっていました。講演会の後も帰宅の途につきながら、聴衆の皆さんが感動を興奮気味に語り合っていたものです。

ところで、クイズです。既に本書を読まれた方は、答もお分かりでしょう。
Q1 アフリカ沖のカナリア諸島に日本国憲法9条の碑があります。この碑のある広場の名前は?
Q2 コスタリカで憲法訴訟を起こした原告の最年少記録は?
Q3 アメリカで救急車を利用したときに支払う金額で、東京―パリ間を国際線で往復できる。本当か、ウソか?
(答えは下に)

本書を繙くと、「憲法を使う・活かす」とはこういうことかと首肯される事例がいくつも挙げられています。一つは、国内において。「憲法を知らずにどうやって生きていくのか」と露店で憲法冊子を買っていったネズエラの若いお母さんのように、国に自らの人権を保障させるため憲法を使うこと、そしてアメリカで9・11直後、テロとの戦いのために大統領に権限を集中する法案に反対した唯一人の議員バーバラ・リーさんがそうしたように、国の進路を判断するときに憲法に立ち返ること。もう一つには、外に向けて。コスタリカは平和憲法を持っているだけではなく、それを使って、周辺国ニカラグアなどの内戦終結に尽力したということ。これらこそが著者の述べる“活憲”ではないでしょうか。

そして、本書で紹介されたような“活憲の達人”たちは、決して特別な人たちではないということ、ごく普通の人たちが、ただ社会を良くするために自分にできることをしているだけで、それが社会を変える力になっている、ということを著者伊藤千尋さんは、とりわけ強調されているように感じました。
本書を読むと、元気が出る。これに尽きます。

(当サイトでは以前伊藤千尋さんの『君の星は輝いているか−世界を駈ける特派員の映画ルポ-』もご紹介しましたので、あらためてご案内します。)

【書籍情報】伊藤千尋著 シネ・フロント社 2008年5月(定価本体999円+税)

クイズの答 
Q1:ヒロシマ・ナガサキ広場と名づけられているそうです。
Q2:何と8歳の少年による憲法訴訟が、最年少記録だとか。
Q3:本当です。アメリカの救急車利用料は7〜8万円かかる由、エコノミークラスなら、東京―パリ間の国際線航空券が買えてしまいます。

 

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