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書籍『日本国憲法は「時代遅れ」か?―九条が武力紛争に挑む』

K・T

憲法は時代遅れになった、という主張に対して、いや、憲法は戦争・紛争のない世界の理想を先取りしたものだ、という反論があります。そしてそれは現憲法の成立事情、歴史的背景からみても正しい反論と思われます。しかし、さらに突っ込んで、仮に世界の理想をうたっているとしても、今の時代が現実にそうなっていないのだから、時代に“合っていない”ことに変わりないではないか、と再反論されたとしたら、どのように考えるべきでしょうか。
制定以来60余年、“時代が変わったのに憲法は変わっていない”、本書は、この疑問に対し、“時代”をキーワードに現憲法の価値を検証することで答えます。

本書は、
第一部 憲法第九条が武力紛争に挑む
第二部 その疑問 ズバリお答えします!
第三部 資料編
の3部構成です。
本書の編集上特徴的なのは、第一部の本文で、用語などの解説としてそのつど頁下部に記された脚注のほか、文中右横に註として付された丸数字の番号が、そのまま第三部資料編の資料番号となっていることです。つまり、註をたどると資料原典を確かめることができ、国連憲章など著名なものはもとより、国際条約や条文、国際会議の宣言、報告文書、有識者の発言などに直接触れられるようになっています。豊富な情報量がコンパクトに駆使され、日本外交論がご専門の著者松竹伸幸氏ならではの工夫が凝らされています。

第一部では、憲法9条の存在が日本の武器輸出を禁じることで国際社会の武力紛争の拡大防止に役立っているのみならず、9条を有する日本だからこそ武力紛争解決の場において武装解除の交渉をすすめられること(関連書籍:伊勢崎賢治氏著『自衛隊の国際貢献は憲法九条で』)が論じられています。さらに国際社会の戦後の歩みを、60年代、70年代、そして90年代から現在に至るまで、と丹念に辿ることで、武力不行使原則が徐々に浸透し、具体化され、徹底されるようになってきたことが明らかにされます。第二部は、Q&A方式でより具体的に、憲法と“時代”とのかかわりに関する疑問に答えています。
本書で改めて興味深く感じたのは、とりわけ21世紀以降、国際社会の舞台においては、非同盟諸国やNGOに集約される市民の力が増すに連れて、相対的にアメリカの影響力が低下する傾向と、日本社会においては、改憲の圧力に抗して“九条の会”が草の根的に広がり始める傾向とが、ほぼ同じような時期に進みつつあることです。もちろん、軍事的経済的超大国アメリカが簡単にその影響力を喪うことはあり得ないでしょうが、国際社会においても国内においても、憲法9条に示される進路が広く支持される時代は、夢物語ではなくなりつつあります。
してみると、憲法9条は“時代に合わない”どころか、憲法9条に“時代が合ってきた”、“時代”の方から憲法9条に近づいてきたとすらいえるのかもしれません。

この憲法を支える理念をより深く学び広めるために、当研究所の連続講座「憲法の考え方」を改めてご案内します。オンライン配信もあわせてご利用ください。

【書籍情報】松竹伸幸編著 学習の友社 2008年4月(定価1,000円本体価格952円)

 

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