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ルポ「ドキュメント志布志事件(上)(下)」

H・O

 2007年2月23日、鹿児島地裁は鹿児島県議選をめぐる公職選挙法違反事件、いわゆる志布志事件の裁判(関連情報)で、被告人12人全員の無罪を言い渡しました。その後検察は控訴せず、12人の無罪が確定しました。この事件では、被告人のほとんどが100日以上勾留され、警察は「踏み字」を強要するなどして、被告人たちに「自白」を強いました。「ドキュメント志布志事件(上)(下)」は朝日新聞鹿児島総局による志布志事件についての渾身のルポです。架空の事件が警察によってどのようにでっち上げられたのかが生々しく綴られています。
 無実が確定したとはいえ、志布志事件の被告人になった方々は大変辛い思いをされました。ある被告人は裁判の途中で他界しました。ある被告人は取調べの際に警察がまったく言い分を聞いてくれないと川に身を投げ自殺未遂しました。ある被告人は、罪を犯したと新聞に報道されたことを理由に長男から親子の縁を切られ、お孫さんにも会えなくなってしまいました。ある被告人は危篤状態の父親の介護の最中に逮捕され、長い勾留を強いられました。ある被告人は、勾留後仕事がなくなってしまいました。被告人たちの無念の思いと怒りは凄まじいものでしょう。
 日本国憲法は被疑者・被告人の権利について詳細に定めています(31条から39条。関連情報)それは、明治憲法の時代に、刑事手続きにおける人権侵害が甚だしかったことへの反省からです。ところが、いまなお警察による人権侵害は後を絶ちません。その背景には多くの人々が安全や安心、そして治安の強化を求め、警察に期待を寄せていることがあるのかもしれません。警察にはその役割の発揮が当然求められますが、私たちには警察が被疑者・被告人に対して人権侵害を犯すことのないよう監視することも求めらます。日本国憲法の中核的な価値である「個人の尊重」の意味をいま一度多くの人々と語り合っていきたいと思います。

 法学館憲法研究所も主催団体として、4月26日(土)に講演会「志布志事件から警察の捜査の現状を知る」が開催されます。志布志事件の被告人たちの人権を守るために奔走している野平康博弁護士のお話を多くの方々に聞いていただきたいと思います。ルポ「ドキュメント志布志事件(上)(下)」には野平弁護士が被疑者・被告人をサポートしてきた姿と苦労も紹介されています。

【論文情報】雑誌「世界」(岩波書店)2008年1月号・2月号に掲載。

 

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