法学館憲法研究所は、憲法を系統的に研究し、個人の尊厳の実現をめざす非政府組織としての自由な研究機関です

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メッセージ集「世界は9条をえらびはじめた」・論文「住基ネット合憲判決と立憲主義の『潮目』」

K・T

今回は、雑誌「世界」5月号(4月8日発売)より、二つの記事・論文をご紹介します。

まず初めにご紹介するのは、「世界は9条をえらびはじめた」(連載「9条の世界的意味を探る」最終回)です。この連載は、同誌07年9月号より始まり回を重ねてきました。いよいよ9条世界会議の開催まで1ヶ月を切り、最終回の今月号では、先に当サイト「今週の一言」で語っていただいた「9条世界会議」日本実行委員会事務局長の川崎哲さんの世界会議成功に向けたよびかけとともに、海外ゲスト・国際賛同人の方々の9条に寄せる熱いメッセージが掲載されています。
海外から日本国憲法9条がどのようにみられているのかを知ることで、“国家の安全保障”に固執する考え方がいかに時代遅れのものとなりつつあるかを痛感させられます。寄せられたメッセージは、貧困・環境・資源といった観点から、まさに“人間の安全保障”に関わる問題として9条がとらえられていることを私たちに伝えています。
日本国憲法9条が、アジア諸国に対する日本の“不戦の約束”という意味にとどまらず、アフリカの人々にとっても、大きな意味を持っているのだということを、ガーナ・西アフリカ平和構築ネットワークのエマニュエル・ボンバンデさんが、こう語っています。「憲法9条の下で日本政府は、人間社会が平和と安全のうちに発展することができる分野へ投資してきました。」だからアフリカの人々にとって、日本が人間の安全保障の分野で多くの仕事を行い、途上国に対して多額の援助を与えることができたのは、少しも不思議ではないのだ、と。こう称賛されると、日本国民の一人として面映いものもありますが、しかし彼の言葉は、世界が日本に何を期待しているかを如実に物語っているといえましょう。
またフィリピン・国際対話イニシアティブのガス・ミクラットさんが「この素晴らしい条項を廃止するようなことを世界は認めないし、この条項を地球上から消し去るようないかなる試みも認めないということを、(世界は日本の人々に)伝えなければなりません。」と述べるとき、今や諸外国の人たち自らが、日本の9条を堅持するためにアクションを起こそうとしていることを思い知らされるのです。日本国民自身が手をこまねいているわけにはゆかないでしょう。

次にご紹介するのは、本号掲載論文「住基ネット合憲判決と立憲主義の『潮目』」です。執筆者は棟居快行大阪大学大学院高等司法研究科教授。本年3月6日に出された最高裁第一小法廷判決(原審大阪高裁06年11月30日判決)についての分析及び批判的検証を行った論文です。行政による個人情報の管理が、伝統的な“紙”から“電子情報”へと移行することによって、「時間的・空間的に散らばっているあちこちの個人情報」を一瞬にして「付き合わせる」ことを可能にするという点で、住基ネットが「国(自治体)と国民の関係を劇的に変化させる潜在力を有している。」と、その危険性を指摘しています。今回の最高裁合憲判決は、「憲法の番人」としては、住基ネットが立憲主義の将来に何をもたらすかについて、鈍感すぎないかという問題提起です。(尚、当サイトの住基ネットの関連情報は憲法MAP(石川・住基ネット差し止め訴訟)などをご参照ください。)

いうまでもなく立憲主義とは、基本的人権を保障するため、恣意的な権力を抑制しようという考え方。当研究所の連続講座「憲法の考え方」、第2回は「人権というものの考え方」です。人権についての憲法学の到達点を学ぶ機会としてご案内します。またオンライン配信も始まりましたので、ぜひご利用ください。

【論文情報】雑誌「世界」(岩波書店)2008年5月号に掲載。

 

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