法学館憲法研究所は、憲法を系統的に研究し、個人の尊厳の実現をめざす非政府組織としての自由な研究機関です

法学館憲法研究所

Mail info@jicl.jp
 
今週の一言
憲法情報Now
 憲法をめぐる動向
 イベント情報
 憲法関連裁判情報
 シネマ・DE・憲法
 憲法関連書籍・論文
 ■今日は何の日?
憲法Voice
研究所・客員研究員紹介
中高生のための憲法教室

憲法文献データベース
日本国憲法全文
リンク集
 
事務局よりお知らせ
賛助会員案内
メールマガジン
ご意見フォーム
サイトマップ

憲法情報Now<憲法関連書籍・論文>

 

書籍『憲法入門 四訂版』

K・T

樋口陽一教授()の『憲法入門』がこのほど勁草書房より刊行されました。初版から数えて四訂版となります。
本書は、当初放送大学の「憲法概論」という科目の教材として書かれたものですが、1993年に単行本として初版が刊行され、その後1997年改訂版、2002年三訂版、2005年三訂補訂版、と版を重ねてきました。今回の改訂で2005年以降の動向を踏まえた新しい内容が盛り込まれています。
集団的自衛権行使にあたると批判のあるアメリカの軍事行動支援のためのテロ特措法が2007年11月に失効し、改めて2008年1月に成立した経緯や、日の丸・君が代訴訟の最高裁判決(2007年2月)で反対意見を述べた藤田裁判官の問題提起などへの言及。また、2007年5月に成立した国民投票法に触れながら、安倍前首相の「戦後レジームからの脱却」発言に示される姿勢は、第九条に限らず、「権力をコントロールするという近代憲法の存在理由そのもの」(p.185)にかかわる深刻なものだったという指摘は印象的です。

本書は、全体15の章から成り、

T憲法から見た「東西」と「南北」/U日本の近代にとって「憲法」とは/Vなぜ「国民主権」なのか/Wなぜ「平和のうちに生存する権利」なのか/Xなぜ「人権」なのか/Y政治的権力からの人権と社会的権力からの人権/Z思想・信仰と教育/[表現の自由/\経済的自由と社会権/]選挙権と代表/]T中央の政治と地方の政治/]U公正な裁判と裁判の独立/]V違憲審査の積極主義と消極主義/]W憲法改正と憲法擁護義務/]Xおわりに―戦後日本の憲法体験

という章立てを大まかに分ければ、T・Uが憲法とは何かという本質論、V〜Xが日本国憲法の基本原理たる国民主権・平和主義・基本的人権についての概論、Y〜\は、個人の尊厳を立脚点とする人権各論、]・]Tが立法・行政にかかわる問題、]U・]Vが司法にかかわる問題、]Wで現在の改憲動向に触れる内容、ということになるでしょうか。

この構成からもうかがえるとおり、本書は、法律の専門家としてではなく、初めて憲法を学ぼうとする人が憲法の全体像を掴むことのできるよう配慮された恰好の入門書であると同時に、樋口陽一教授の独創的な憲法論―「個人の尊重という価値を大前提としたうえで、権力からの自由を近代憲法の核心としてとらえ、それと抵触するものを否定するというかぎりでの反・集団主義の見地が、基本的な立脚点」(p.205〜206)―をも学ぶことができる書物です。

また、民主主義と立憲主義の緊張関係を意識した議論を展開される樋口教授(書籍『個人と国家―今なぜ立憲主義か』参照)が、本書において、近年「均質な国民国家を想定してえがかれる多数派デモクラシー像に対して、多元的なサブ・カルチュアの共存を想定してえがかれる多元=協調型デモクラシー像」(]T p.147)が浮かび上がってきており、この多元的デモクラシーが「人間ひとりひとりの生活現場に密着した『近間のデモクラシー』」(同)として、「個人の尊厳という近代立憲主義にとっての窮極の価値を確保するためのひとつの問いかけとして、大きな意味をもつ」(同)と述べられているのは、興味深いものがあります。

今月より始まる連続講座U「憲法の考え方」も、憲法の本質を掴むことで、日本社会の現在と未来を見つめる重要な視点を得ることを目指します。是非ご活用いただきたくご案内します。

【書籍情報】樋口陽一著 勁草書房 2008年2月(定価 本体価格1,800円+税)

(※)樋口陽一教授について、従前当欄でご紹介した書籍等は、文中で引用したものを除き、次のとおりです。書籍『1946「世界」2005・憲法論文選』対談『私たちはまだ、自由を手にしていない』書籍『「日本国憲法」まっとうに議論するために』特集『憲法にとって「国」とは何か』所収論文等特集『法は人間をどう捉えているか』特集『改憲問題−刑事法学からのアプローチ』他。

尚、当サイトでは憲法関連データベースで憲法関連文献をご案内しています。著作者別、テーマ別など種々の検索が可能です。樋口教授の他の著作を知りたい、立憲主義にかかわってどんな著作があるか知りたい、などのご要望におこたえできるものと思います。是非ご利用ください。


【書籍情報】2008年2月、勁草書房から刊行。1800円+税。

 

[今週の一言][憲法情報Now][中高生のための憲法教室][憲法文献データベース][事務局からのお知らせ]
[トップページ]