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書籍『<つくる会>分裂と歴史偽造の深層―正念場の歴史教科書問題』

K・T

2007年9月29日。沖縄戦における住民の強制集団死(「集団自決」)への日本軍の関与を抹消しようとした教科書検定に対する、沖縄県民の怒りが地を揺るがしました。この日、検定意見撤回を求める集会への参加者は11万6000人。沖縄県民の10人に1人が参加したことになると言われます。この割合を首都圏にあてはめれば、実に、120万人規模の集会が行なわれたことになります。

これだけの怒りを呼び覚ました06年の教科書検定、その狙いはどこにあったのか。「日本を『戦争をする国』に変えるためには憲法九条を改悪するだけではだめである。国民が積極的に自衛隊の戦争を支持し、戦争に参加するようになることが必要である。そのために、『つくる会』などは、『従軍慰安婦強制連行説』『南京大虐殺』『沖縄戦集団自決軍命令説』を『自虐史観の三点セット』だといい、教科書からの削除を要求し、『皇軍(旧日本軍)』の名誉を守る(回復する)と主張している。」(p.94〜95)と、本書は喝破します。

本書著者俵義文さんは、以前当サイトで「今週の一言」(「日本・中国・韓国=共同編集 未来を開く歴史―東アジア3国の近現代史」)にご登場いただいた外、書籍『教科書から消される「戦争」』論文「特集 憲法は女性の味方か」の執筆陣のお一人としてもご紹介させていただきました。家永教科書裁判の支援者として裁判を支え、その成果と運動を引き継ぐ新組織“子どもと教科書全国ネット21”の結成に参加し事務局長に就任。国内外で教科書問題のとりくみと講演活動などに携わってこられた方です。

この2月に花伝社より刊行された本書の構成は
序章
第1章 「つくる会」に何が起きたのか?―二〇〇五年教科書採択に惨敗して
第2章 歴史歪曲に奔走する人々
第3章 問われる教科書検定制度
終章
あとがきにかえて
となっています。本書前半、歴史教科書に対する攻撃とその狙いが、攻撃の先鋒者たちの人脈や動向の分析を通じて明らかにされます。今の福田政権が、安倍政権よりもソフトイメージを前面に出しているものの、実は「お下がり政権」と呼ばれるごとく、人事面では安倍政権のタカ派的性格をそっくり引き継いでいることも。本書後半は、沖縄戦の歴史歪曲問題を中心的素材として、教科書検定制度の問題点を洗い出し、右派の策動への警戒をよびかけつつ、草の根からの運動でそれをはねかえす展望を示す内容となっています。

去る2月15日、文科省は小中学校の学習指導要領改定案を発表しました。道徳推進教師の配置や、“伝統と文化”教育の重視など、06年の教育基本法「改正」を踏まえ“愛国心”教育への執念が伺われる方針と伝えられます。歴史の捏造を許さず、真実を見分ける目を養うことが益々重要な課題となるでしょう。ドキュメンタリー映画「戦争をしない国 日本」もその一助となることを願って製作されました。マンスリー上映会も行われていますので、あわせてご案内いたします。

【書籍情報】俵義文著 花伝社 2008年2月刊行 (定価 本体1,000円+税)

 

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