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憲法情報Now<憲法関連書籍・論文>

 

書籍『戦後日本は戦争をしてきた』

K・T

当サイトで度々ご案内していますドキュメンタリー映画「戦争をしない国 日本」(今月よりマンスリー上映会が始まります)。これに対して今回ご紹介する書籍のタイトルが「戦後日本は戦争をしてきた」。「戦争をしない国」日本が、戦後「してきた戦争」とは?憲法9条の下、かろうじて戦争当事国たることを免れつつ、しかし、専ら日米同盟の枷により戦争に関与協力してきた(かばかりか、そこから多大な収益をあげてきた)日本の姿。映画も、そして本書も、それを描き出すことを意図しているとすれば、逆説的ながら、「戦争をしない」「戦争をしてきた」どちらも真実といえましょう。

本書は、2006年11月から2007年8月にかけて、政治学者で東大教授の姜尚中さん(当欄で著書書籍「愛国の作法」をご紹介しています)と、同じく東大教授で「九条の会」事務局長も務められる小森陽一さんとが行った対談を収録したもの。お二人のやりとりは、ときに軽妙洒脱であり、ときに重く深い問いを、読むものに投げかけます。姜尚中さんは1950年のお生まれ、小森陽一さんは1953年のお生まれ。
小森「(前略)私は自分の親から『陽ちゃんは朝鮮戦争の休戦協定の年に生まれたんだよ』としつこく言われて(後略)」
姜「私は勃発の年に生まれています(笑)。」
小森「姜さんと二人合わせると‥‥。」
姜「休戦協定だ(笑)。」(p.120)

改めて思い起こす必要があるのは、朝鮮戦争はまだ“終わっていない”、ということ。結ばれているのは“休戦協定”であって、戦闘行為が中断しているに過ぎない。
姜「(前略)この数年にわたって、北朝鮮危機が日本国民に大きなインパクトを与え、政治を動かし、メディアを動かしました。しかし私は一貫して、この問題の根幹にある朝鮮戦争の終結を図らなければ第二の戦争が起きると言ってきました。(中略)拉致問題であれなんであれ、それがまさしく核とセットになっている以上、ここで休戦協定を平和協定に変えるしか方法がない。」(p.124)
小森「(前略)北朝鮮が核実験をしても、国連の安全保障理事会が、国連憲章の第四一条に基く『兵力』の使用を伴わない制裁決議をあげたからこそ、六者協議が再開されたわけです。『軍事力を行使しないで、平和的な外交交渉が国際問題を解決する』というのは、日本国憲法第九条の思想に基づき、日本にとって朝鮮戦争の過ちを克服しようとする動きなのだと思います。それが進みつつあるのが現在の情勢です。」(p.125〜126)
ここに述べられた国連憲章第41条(非軍事的措置)に憲法9条の真髄をよみとるという観点は、重要なものに思われます。

第二次大戦後の日本とアジアの歴史を辿り、それが日本のいまの在りようをどう規定しているのかを検証しながら、本書は未来の可能性について探ろうとしています。
自らの歴史認識、自らの生き方を見つめなおす手がかりとなる一冊です。
本年3月より開講する連続講座U「憲法の考え方」は、歴史の中で確立されてきた憲法理論の到達点を明らかにする内容です。理論的確信をより深めるために、ご活用いただくことをご案内します。

【書籍情報】姜尚中・小森陽一著 角川書店(角川oneテーマ21 新書)2007年11月 (定価 本体686円+税)

 

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