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論文『歴史教育・社会科教育の動向』

K・T

昨年12月に刊行された『歴史教育・社会科教育年報2007年版―世界に問われる日本の歴史教育』所収の愛知県立大学久保田貢准教授(当サイト「今週の一言」に「ちゃんと知りたい!日本の戦争」と語っていただきました。)の本論文は、05年〜07年の歴史・社会科教育の動向を鳥瞰し、わたしたちの課題と展望を明らかにしています。

本論文ではまず、小中高での歴史・社会科教育の優れた実践例が紹介されますが、そこに共通するのは、「地域に生きていく子どもたちの将来の姿を見すえながら、育んでいること」、そして「地域に生きる人びとの姿を、たしかな、あたたかなまなざしで見つめながら、彼らとともに子どもたちの未来を考えていること」。教育という行為が、地域の営みと切り離せないものであることが伝わってきます。久保田准教授は、これらの実践例から教育内容・教育方法のさらなる研究を深めること、自分たちの教育課程作りを一層すすめること、の二つの課題を挙げています。

次にこの05年から07年に至る、教育をとりまく状況の変化動向の分析が試みられ、06年12月に公布・施行された「改正」教育基本法の影響、並びに東京都教育行政の問題に着目されています。前者の問題については、これまでに著された「改正」教育基本法の問題点と課題を明らかにする文献・論考の紹介と整理がなされ、後者の問題については、特に「つくる会」教科書採択の問題と、「日の丸・君が代」強制問題とが採りあげられています。昨年4月当欄特集「施行60年目の憲法状況」(雑誌『世界』07.5月号)でとりあげた西原博史教授(以前当サイト「今週の一言」で「先行する憲法の根本改正としての教育基本法改正」と語っていただきました。)の論文に対する反論など、教育権をめぐる議論の深まりについての言及は興味深い。

また久保田准教授は、改憲の動きに触れながら、狭義の学校教育にとどまらぬ憲法教育の新しい動向も紹介されています。『歴史評論』06.3月号広川禎秀氏の論文(歴史科学協議会編)、『クレスコ』石埼学氏(以前当際と「今週の一言」で「「国民保護体制」と、自由の基礎としての第9条の意義」と語っていただきました。)連載企画(書籍『デモクラシー検定』著者)、『部落問題研究』176号川辺勉氏の論文、『「人権」をめぐる論点・争点と授業づくり』所収中島美代子氏論文、同河原和之氏論文と並んで、伊藤真当研究所所長の中高生向け憲法教育の活動、「いま『憲法を語る』とは〜立憲主義・改憲問題・憲法教育」(『民主主義教育21』Vol1)、中高生のための憲法教室、さらにドキュメンタリー映画「戦争をしない国 日本」(来月よりマンスリー上映会開始)の上映運動についてもご紹介いただいています。

最後に今後どのように展望を広げていくかという観点から、久保田准教授は(1)アジアのなかで考える社会科教育(2)社会科教師の育成、の2点を挙げ、日中韓3国共同での社会科教材作りや社会科教師育成を意識した大学生向けテキストの刊行など、既にとりくみの始まっている実践例の意義を評価されています。

今後憲法教育がどのように進められていくのかということに、私たちも無関心ではいられません。憲法理念の本質に迫る連続講座U「憲法の考え方」も憲法教育、憲法学習の一環としてご活用いただきたくご案内します。


【論文情報】執筆者:久保田貢愛知県立大学文学部准教授 歴史教育者協議会編『歴史教育・社会科教育年報2007年版―世界に問われる日本の歴史教育』(2007年12月刊行 三省堂 本体価格2,381円+税)所収 

 

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