法学館憲法研究所は、憲法を系統的に研究し、個人の尊厳の実現をめざす非政府組織としての自由な研究機関です

法学館憲法研究所

Mail info@jicl.jp
 
今週の一言
憲法情報Now
 憲法をめぐる動向
 イベント情報
 憲法関連裁判情報
 シネマ・DE・憲法
 憲法関連書籍・論文
 ■今日は何の日?
憲法Voice
研究所・客員研究員紹介
中高生のための憲法教室

憲法文献データベース
日本国憲法全文
リンク集
 
事務局よりお知らせ
賛助会員案内
メールマガジン
ご意見フォーム
サイトマップ

憲法情報Now<憲法関連書籍・論文>

 

書籍『人はなぜ戦争をしたがるのか―脱・解釈改憲』

K・T

本書帯紙に、「北朝鮮からの侵攻はありえない。/国家総力戦の時代はもう来ない。/なのに/憲法の解釈を変えてまで/軍隊を海外派兵したがるヤツがいる。」とあります。改憲を旗印のひとつにした安倍政権は、昨年倒れました。しかし、いまなお根強い"北朝鮮脅威論"、民主党小沢代表の議論を呼んだ"国連安保理決議にもとづく自衛隊の海外武力行使容認"発言。解釈にせよ明文にせよ憲法九条「改正」による自衛隊の軍隊化・海外派兵への志向が消え去ったわけではありません。

このような情勢にあって、本書は"護憲の側の有効な理論武装"を目指すもの。"北朝鮮脅威論"と、"集団的自衛権"をめぐる問題とに、それぞれの角度から迫ります。
たとえば、
第一章 「美しい国」よ、サヨウナラ
「「非武装」を語る前に―豊下楢彦(関西学院大学教授)氏(当欄で書籍『集団的自衛権とは何か』をご紹介しました)に聞く」では、「(いまの北朝鮮と毛沢東時代の中国との)歴史的な比較を行ない、ミサイル防衛の持っている理論的な問題や技術的な問題を説明し、いまや米国と北朝鮮は、むしろ国交正常化に向けて動いているということを複合的に説明すると、学生たちは一コマの授業で変わります。」(p.14)
「それでも非武装を選択する―木村朗(鹿児島大学法文学部教授)氏に聞く」では、「日本に上陸侵攻するというのは、一目瞭然に侵略と断定される。(中略)国連からも経済的・武力的制裁を受けるリスクとコストを考えれば、それでも日本を占領する利益があると考える国が世界のどこに存在するでしょうか。」(p.25)
「真の安全保障は非軍事で―古関彰一(獨協大学法学部教授)氏(当欄で書籍『憲法九条はなぜ制定されたか』をご紹介しました)に聞く」では、「日本の政府も米国も、『日本が攻められる』などということはまったく想定していないと思います。想定していれば、北朝鮮に最も近い日本海側にあれほど多くの原発を作るはずがない。」(p.32)
「対米従属を脱して掲げるべき九条の理念―西谷修(東京外国語大学教授)氏に聞く」では、「恐怖心や敵意を煽るために北朝鮮が使われているのでしょうが、彼らの前には韓国という国家があるし、中国だってそんなことをさせないでしょう。」(p.45)
「対米従属で未来は切り開けない―進藤栄一(筑波大学名誉教授)氏に聞く」では、「私は、朝鮮問題も現地取材を含めて研究したんですよ。(中略)兵器のレベルがどれほどなのか、それが経済や外交とどう結びついているのかといった点から最新のデータと学説を参考に」検証したところ、「『脅威なんてまったくない』という結論以外出てこない。」(p.50)
そして、
座談会「されど九条の精神は揺るがず」―我部政明(琉球大学法文学部教授)氏・前田哲男(ジャーナリスト)氏・山口二郎(北海道大学大学院教授)氏では、"九条"に価値を見出す国民の間でも、その捉え方は幅広いものでありながら、確実に平和思想が定着していること、米国のいいなりにならない政権をつくることの重要性などが語り合われています。
(以前、前田哲男氏には当サイト「今週の一言」のページで「憲法前文の理念で『人間の安全保障』を追求する」と語っていただきました。

これに続く
第二章 こんどの騙しはもっと手ごわいぞ!―京都市民集会の記録から― 
は、以下のとおり構成されています。

第一部 ≪対談≫近代日本の平和主義の系譜
山室信一・京都大学教授(以前、当欄でその著書=書籍『憲法9条の思想水脈』をご紹介しました)×佐高信・『週刊金曜日』編集委員
第二部 ≪対談≫基地の重圧に苦しむ自治体
井原勝介・岩国市長×上原公子・前国立市長(上原公子前市長には以前当サイト「今週の一言」「憲法と地方自治の本旨をかみしめて…」で語っていただきました)
第三部 ≪シンポジウム≫集団的自衛権に巻き込まれない論理をつくろう
伊藤真・伊藤塾塾長(法学館憲法研究所所長)×小森陽一・「九条の会」事務局長×知花昌一・読谷村議×野田正彰・関西学院大学教授 (コーディネーター)今井一氏×桐田勝子氏
シンポジウムに参加した伊藤真当研究所所長は、"自衛権"と"自衛戦争"との、"軍事力"と"警察力"との峻別を強調。シンポジウム全体では、改憲により自衛隊が自衛軍となれば、日米安保条約を根拠に"集団的自衛"の名の下、アメリカの世界戦略に基づく軍事行動にいっそう深く巻き込まれる危険性が指摘され、「自分と意見を同じくする人だけでなく、意見が異なる人たちとも積極的に議論や対論を重ね」行動することの必要性をうったえています。

【書籍情報】 『週刊金曜日』編 株式会社金曜日 2007年11月 (定価 本体1200円+税)

 

[今週の一言][憲法情報Now][中高生のための憲法教室][憲法文献データベース][事務局からのお知らせ]
[トップページ]