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書籍『歴史教育と歴史研究をつなぐ』

K・T

岩波書店より、上記タイトルの座談会を収録したブックレットが刊行されました。
座談会の司会を務めたのは、山田朗明治大学文学部教授(当欄で以前山田教授の著書『護憲派のための軍事入門』をご紹介しています)。参加されたのは、一條三子教諭(1955年生、埼玉県立桶川高等学校)、久保田貢准教授(1965年生、愛知県立大学文学部)、齋藤一晴非常勤講師(1975年生、都留文科大学文学部)、成田龍一教授(1951年生、日本女子大学人間社会学部)、吉田裕教授(1954年生、一橋大学社会学部教授)、渡辺賢二非常勤講師(1943年生、明治大学文学部)の方々です。(尚、久保田貢准教授には以前当サイトの今週の一言「ちゃんと知りたい!日本の戦争」で語っていただきました。)

ここに参加者のお名前に続けてご生年を記載したのは、この座談会が“世代”をとても意識した内容で成り立っているからです。それは、“次世代を育む”という教育の本性からして当然なのかもしれません。しかしご参加の方自身が、自らの世代を省みて、自らの問題意識の根源を自らの体験に探りつつ、世代間の状況差を踏まえて教育と研究を語るということは、この座談会ならではの大きな特徴といえるのではないでしょうか。
研究・教育者が戦争体験第一世代から、第二世代へ、そしていまの生徒・学生がすでに第三世代ともいわれる状況にあって、各参加者らは意識のギャップを感じながらも“結論を押しつけ”ることなく“伝える工夫”や、生徒自らのフィールドワークによって地域史に新たな光があてられるなどの優れた実践例を語られています。

この座談会のもうひとつの特徴は、歴史研究と歴史教育とが、それぞれの領野に閉じこもるのでなく相互の交流がより豊かな果実をもたらすという認識を前提に、さらにそこに、歴史叙述という領野をも、視座にとり入れていることです。生徒・学生のみならず私たちも、歴史問題に関わる様々なメディア―新聞テレビ・歴史時代小説・映画・ゲーム等々―にさらされています。受けた教育のいわゆる“教科書的記述”よりもメディアの“叙述”は刺激的につくられています。それだけに裾野は広く、影響も大きいでしょう。「歴史研究・歴史教育・歴史叙述は三位一体のものとして発展すべきもの」(p.62)と、座談会を終えて山田朗教授は述べられています。

自らの歴史認識がどうつくられ、そのことが何を意味するのか、それを改めて問い直し、これまで形成してきた歴史認識を自らの手で更新してゆく作業、それは歴史研究・歴史教育に直接携わる人のみならず、私たち一人ひとりに必要な作業なのではないかと考えさせられました。

当研究所が製作・普及に協力しているドキュメンタリー映画「戦争をしない国 日本」も日本国憲法施行60年の歴史を辿る内容となっており、あらためてご案内させていただきます。


【書籍情報】山田 朗編 2007年11月発行 岩波ブックレットNo.712

 

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