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特集「改憲問題―刑事法学からのアプローチ」

K・T

法学セミナー2007年11月号に掲載された特集「改憲問題―刑事法学からのアプローチ」をご紹介します。本特集の所収論文等は、以下のとおりです。

「(対談)刑事法学から憲法学に問う」(愛敬浩二名古屋大学教授/松宮孝明立命館大学教授)
<第1部>刑事法学からの視点
「国民投票法の性格と今後の課題」(斉藤豊治大阪経済大学教授)
「『地位利用』の犯罪論」(浅田和茂大阪市立大学教授)
「国民投票法の罰則規定―公職選挙法との比較」(新谷一幸広島修道大学教授)
「軍事裁判所の設立について」(白取祐司北海道大学教授)
<第2部>改憲案についての専門家のアドバイス―「地位利用」のシミュレーション?
「安全・安心への権利―反対運動のパンフレット執筆」(酒井安行青山学院大学教授)
「軍事機密保護法―市民集会の講師の発言が問題になるのか」(新谷一幸広島修道大学教授)
「犯罪被害者の権利―研究室の中で・学生との対話」(松宮孝明立命館大学教授)
「社会内処遇―改憲案発議時点での『刑事政策』の講義のあり方」(本庄武一橋大学専任講師)

特集テーマについての問題提起的な愛嬌教授と松宮孝明教授の対談を冒頭に、全体は二部構成。第1部“刑事法学からの視点”、第2部“改憲案についての専門家のアドバイス―「地位利用」のシミュレーション?”と銘打たれています。
既に当欄で同誌10月号特集「検証『改憲実態』」、そして同号の「特別企画・国民投票法 重要条文解説」をご紹介しました。今回は、刑事法学の蓄積を通して国民投票法の問題点に切り込むことで、改憲動向の全体像に迫ろうとする画期的な試みといえましょう。

国民投票法はその成立過程で、公務員・教育者の地位利用に関し処罰規定は見送られましたが、禁止規定に触れた場合の懲戒処分が想定されることから、言論への萎縮効果については従来から指摘されていました。しかし、これまであまり触れられてこなかった問題、仮に当該行為が他の刑罰法令に触れる場合に正当化される範囲が著しく縮小される可能性の問題に言及されているのが、斉藤豊治大阪経済大学教授の論文です。この斎藤教授論文はじめ<第1部>各所収論文からは、改憲発議後の国民投票運動に対する規制のあり方ばかりが国民投票法の問題点なのではなく、犯罪予防の名の下にいっそうの監視社会強化が図られる危険性が秘められているということに、改めて気づかされます。
さらに<第2部>では、公務員・教員のパンフの執筆や市民集会での発言、そしてゼミや講義での教師としての発言などの行為が国民投票法で禁止された“地位利用”にあたるのか?を問いかける、近未来のシミュレーションが展開されます。思わず微苦笑を誘うようなシミュレーションもさることながら、根本的には「専門家の発言は自由であると同時に、むしろ責務だ」(p.15)、という冒頭対談の松宮教授の発言に集約される問題であることが明らかになります。

さて特集外ですが、本誌には先に当欄で紹介しました書籍『憲法を生きる』に関する樋口陽一教授の「憲法9条と立憲主義―奥平康弘さんの『憲法を生きる』に触発されて」が掲載されています。立憲主義と民主主義の緊張関係を念頭におきつつ、立憲主義の観点から憲法9条の意義について考察する、知的刺激に満ちた必読の論評です。あわせてご案内します。

冒頭の対談に登場される愛敬教授は法学館憲法研究所双書『憲法の本』推薦文(PDF)を寄せてくださっていますので、ご紹介します。

【書籍情報】法学セミナー2007年11月号特集「改憲問題―刑事法学からのアプローチ」 日本評論社

 

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