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特集「検証『改憲実態』」

K・T

 法学セミナー2007年10月号に掲載された特集「検証『改憲実態』」をご紹介します。本特集の所収論文は、以下のとおりです。

 「『改憲実態』を検証する―企画の趣旨」(愛敬浩二名古屋大学教授)
 「自衛隊の現在と9条改憲」(飯島滋明名古屋学院大学専任講師)
 「教育基本法改定と改憲問題」(足立英朗大阪電気通信大学教授)
 「格差社会と社会権の現在」(遠藤美奈西南学院大学准教授)
 「憲法改正国民投票法と民主主義」(奥野恒久室蘭工業大学准教授)
 「沖縄と戦後補償―改憲論の盲点」(小沢隆司札幌学院大学教授)

 “改憲実態”―あまり耳慣れない言葉ですが、冒頭論文で愛敬教授はこう説明されています。「明文改憲がなされていないにもかかわらず、日本国憲法の条文や理念が想定する(あるいは適合的な)国家・社会のあり方から、系統的・総体的に乖離した現在の政治・社会の状況を表す」と。しかし明文改憲に対しては、“解釈改憲”という用語があるのに、あえて“改憲実態”という言葉を使うのは何故か。「解釈改憲では問題にしにくい、重要な憲法問題が山積しているというのが、本企画の問題意識である。」

 確かに今の日本社会の状況を考えると、“改憲実態”として思い当たることは幾つも浮かび上がってきます。「格差社会」の問題などは、とりわけ“改憲実態”という把握の仕方が相応しいように思われます。掲載論文「格差社会と社会権の現在」中の遠藤美奈教授の以下の指摘は示唆に富んでいます。「格差社会のありようそのものは憲法違反たりえないにしても、社会権を具備した憲法を運用しながら、政府が選択可能な政策の中から敢えて格差を拡大させることは背理に映る。」
 自衛隊の組織面・装備面での変容を“改憲実態”という視点で跡付けした飯島滋明教授の論文「自衛隊の現在と9条改憲」、教育基本法改定が改憲論議と相互補完的な関係にあることを検証した足立英朗教授の論文「教育基本法改定と改憲問題」、立憲主義的観点との対比を交えながら、“粗雑な多数決主義的民主主義観”に対抗する討議民主主義論の観点に立って国民投票法の問題点を浮き彫りにした奥野恒久教授の論文「憲法改正国民投票法と民主主義」など、いずれの論文も“改憲実態”という視角の有効性を証明しています。それは、憲法理念から懸隔した社会の実態を既成事実として、いわばなし崩し的な改憲論議が横行する今、私たちの憲法感覚を研ぎ澄ますための視角です。

 尚、法学セミナー10月号では、今回ご紹介の特集の他、特別企画「国民投票法 重要条文解説」を組み、以下の論文を掲載しています。
 「総論―法制定までの経緯と法律の位置づけ」(井口秀作大東文化大学教授)
 「国民投票法広報協議会」(井口秀作大東文化大学教授)
 「国民投票運動」(西土彰一郎成城大学准教授)
 「発議方式・投票方式と承認の要件」(内藤光博専修大学教授)
 曖昧な部分を残したまま制定された改憲手続法、その問題点と課題を洗い出すためにも大変参考になる企画です。併せてご紹介します。

 冒頭の論文の筆者である愛敬教授は法学館憲法研究所双書『憲法の本』推薦文(PDF)を寄せてくださっていますので、ご紹介します。


【書籍情報】法学セミナー2007年10月号特集『検証「改憲実態」』 日本評論社

 

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