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書籍『原爆災害―ヒロシマ・ナガサキ』/『報道されなかったイラク戦争』/『イラクの混迷を招いた日本の“選択”―自衛隊がやっていることvs私たちがやるべきこと』

K・T

 1945年8月6日、ヒロシマに原爆が投下されました。8月9日ナガサキに原爆が投下されました。日本は世界で唯一の被爆国となりました。

 今回最初にご紹介する書籍『原爆災害―ヒロシマ・ナガサキ』は、1979年に出版された原爆災害の学術的研究の集大成というべき『広島・長崎の原爆災害』を底本にその主な内容を要約した普及版として、被爆40年の年1985年に岩波書店より刊行(2005年に岩波現代文庫に収録)されたものです。
 本書に多くの説明は要りません。原爆投下直後の貴重な写真、広島原爆医療史や長崎原爆戦災史、米国戦略爆撃調査団の報告などにもとづく詳細かつ克明な資料。何よりも事実が雄弁に物語ります。長期間にわたる調査を続けられた関係者の努力とあわせて、これらの記録を後世に伝え残そうとされた数多くの人々の努力も忘れてはならないでしょう。記憶を歳月に風化させないために、改めてアーカイブの必要性を痛感します。
 先に“唯一の被爆国”、と書きました。しかし、被爆された方々の“二度と私たちと同じ被爆者をつくってはならない”という願いを裏切って、世界でまた“ヒバクシャ”が生まれているのではないでしょうか。

 次にご紹介する書籍『報道されなかったイラク戦争』の表紙。タイトルの下に“これはヒロシマ・ナガサキだ!”とあります。湾岸戦争で使用された劣化ウラン弾の被害者の息子、不幸にも7歳でがんを発症した「被爆2世」のガフィル君。「(イラク戦争での劣化ウラン弾使用後)彼の腫瘍はみるみる大きくなり、‥‥ガフィル君は2重に被爆したのである。」(p.32)
 本書は、日本のマスメディアが引揚げた後のイラクで、著者自身が激戦地の今を生きる人びとに体当たりで取材した体験にもとづいて書かれています。だからこそ、イラクの現状が迫力ある筆致で伝わってきます。同時に、本書で著者は、中東の歴史をさかのぼってブッシュとフセインとの“密接”な関係について言及し(第4章フセインとアメリカの本当の関係)、またイラク戦争の背後にあるものを指摘しています(第5章戦争の民営化―巨大ビジネスとしての戦争―)。一般マスメディアが掴んでいなかったイラクの実態、そして一般マスメディアが口をつぐんだイラク戦争の本質。二重の意味で、文字通り“報道されなかった”イラク戦争の真実がここにあるのです。

 最後にご紹介するのが、このイラク戦争に日本の自衛隊が加担するのは憲法違反だとして派兵差止訴訟を起こした全国弁護団連絡会議の書籍『イラクの混迷を招いた日本の“選択”―自衛隊がやっていることvs私たちがやるべきこと』です。本書では、イラクでの「人道復興支援」の“象徴”のごとく喧伝されてきた自衛隊の“給水”活動なるものが、実は兵器の“冷却水”などのための兵站活動であること、空自の輸送対象のほとんどが機密扱いにされている裏で、米軍の作戦行動にあわせて多数の兵士が運ばれていると推測できること、などが明らかにされます。
 一方、納めた税金がイラクの人々を苦しめるために使われることは厭だと、イラクの人々、子どもたちに思いを馳せて、イラク派兵差止訴訟に立ち上がった市民の声を本書は伝えます。防衛省元幹部故箕輪登氏が、この訴訟の原告団の一人であることは、先に当サイトの書籍『我、自衛隊を愛す故に、憲法9条を守る―防衛省元幹部3人の志』でもご紹介しました。過日原爆投下を「しょうがない」と発言した久間前防衛相の、想像力欠如ぶりと、比較せずにはいられません。
 このイラク派兵差止訴訟の“肝要(キモ)”が、憲法9条と憲法前文の平和的生存権にあることはいうまでもありません。前掲書『報道されなかったイラク戦争』でも、著者は「(戦争につける)一番よく効く薬」は、憲法9条だと述べています。

 8月の“あの日”から60余年の歳月が流れました。記憶を歳月に風化させない、そして今起きていることから目を逸らさないためには、私たち一人ひとりが繰り返しヒロシマ・ナガサキを、平和憲法の価値を、心に刻む必要があります。そのひとつの機会として、当研究所が後援するNPO法人「人権・平和国際情報センター」(HuRP)主催の平和ドキュメンタリー映画上映会をご案内します。お誘い合わせの上ご来場下さい。

【書籍情報】
広島市・長崎市原爆災害誌編集委員会編『原爆災害 ヒロシマ・ナガサキ』2005年7月発行(岩波現代文庫 本体価格900円+税)
西谷文和著『報道されなかったイラク戦争(西谷文和の「戦争あかん」シリーズ(1))』2007年2月発行(せせらぎ出版 本体571円+税)
自衛隊イラク派兵差止訴訟全国弁護団連絡会議編著『イラクの混迷を招いた日本の“選択”―自衛隊がやっていることvs私たちがやるべきこと』2007年4月発行(かもがわブックレット 本体600円+税)

 

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