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インタビュー「浮かび上がる『靖国』の思想―教科書修正の背後にあるもの」

K・T

 雑誌『世界』7月号は特集「『沖縄戦』とは何だったのか―『集団自決』問題を中心に」を組み、高橋哲哉教授(東大大学院総合文化研究科)のインタビュー記事が掲載されています。

* 高橋教授には以前当サイトでも語っていただきました

 2007年3月、文科省が公表した高校の歴史教科書の検定結果では、沖縄戦における「集団自決」への日本軍関与の記述が削除され、沖縄に生きる人々、沖縄に心寄せる多くの人々の怒りをよんでいます。歴史を書き換えようとする政府文科省の動きの背後にあるものは何か、高橋教授が語ります。
 歴史教科書の検定で沖縄戦が問題になったのは今回が初めてではありません。80年代半ばから90年代にかけて家永裁判の第三次訴訟においては、当時の文部省が「集団自決」の加筆を求めたことが争点でした。「今回の検定は、一見それと矛盾するように見えますが、実は一貫していると見るべき」と教授は述べています。それは何故か。沖縄戦の最終局面で、住民が“自決した”事実について、「日本軍による強制性」は消したいが、住民自ら選んだ「崇高な自己犠牲の精神」による死であることは教えたい。こういう意図があるのだと教授は説き明かします。
 「歴史観に関するかぎり日本の極右勢力が政権をジャックしてしまった」と高橋教授の評する安倍政権が公然と打ち出す憲法9条改定への流れと、沖縄戦の歴史記述の問題は不可分です。「新しい日本軍が軍事力を行使するときには当然、戦死者が出ることが想定されている。そうなったときに、戦死者の死を、自ら国を支え守る愛国心、あるいは国民の責務の発露として顕彰し、讃えていく。そうしなければ『戦争をする国』は成り立たない」戦前その役割を果たしたシステムが靖国でした。
 「かつてのような軍国主義や総力戦体制の復活を想像することは難しい。これはあくまで、90年代後半から出てきた『日米同盟』のグローバル化、日米安保の再定義の延長上で、米軍と日本の『自衛軍』が一体化して行う新たな『戦争』に向けた動き」であり、それに従う国民意識をつくりあげるために、「沖縄戦民間人戦死者の靖国化、沖縄戦の記憶の靖国化が企てられている」と教授は看破するのです。
 教科書に限らず、今、知らず知らずのうちに私たちの身近なところに、“自己犠牲”や“殉国”を讃える風潮が迫ってはいないでしょうか。テレビで、映画で、もろもろのメディアで。改めて考えさせられます。だからこそ、歴史事実から目をそらさせようとする為政者の意図には最大限の警戒を払う必要があるでしょう。「沖縄戦の記憶の改竄を許さず、沖縄を犠牲にして強化されてきた『日米軍事同盟』とは異なる道を見出さなければならない」との教授の結びの言葉は、深く胸に迫ります。


 以前当サイトで「沖縄から憲法9条を守るために―平和主義・改憲論・教育基本法」というブックレットをご紹介させていただきました。改めて沖縄と憲法のかかわりを学ぶ上でも、お薦めいたします。当研究所でもこのブックレットを取り扱っています。当研究所宛にメールにてご注文いただきましたら、お届けします。お届けの際、郵便払込取扱票を同封致しますので、代金=「冊数×500円+送料」を郵便局にてお支払いください。あわせてご案内致します。

【論文情報】特集「『沖縄戦』とは何だったのか―『集団自決』問題を中心に」雑誌「世界」7月号(定価780円)所収

 

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