法学館憲法研究所は、憲法を系統的に研究し、個人の尊厳の実現をめざす非政府組織としての自由な研究機関です

法学館憲法研究所

Mail info@jicl.jp
 
今週の一言
憲法情報Now
 憲法をめぐる動向
 イベント情報
 憲法関連裁判情報
 シネマ・DE・憲法
 憲法関連書籍・論文
 ■今日は何の日?
憲法Voice
研究所・客員研究員紹介
中高生のための憲法教室

憲法文献データベース
日本国憲法全文
リンク集
 
事務局よりお知らせ
賛助会員案内
メールマガジン
ご意見フォーム
サイトマップ

憲法情報Now<憲法関連書籍・論文>

 

座談会「日本国憲法と憲法学の60年」

K・T

 法律時報7月号は「日本国憲法施行60年」という特集を組み、その巻頭、奥平康弘東京大学名誉教授(参考:当サイト・書籍情報『憲法を生きる』)、森英樹龍谷大学教授(当研究所客員研究員。参考:当サイト「今週の一言」の「60年目の憲法と「今そこにある改憲」―アーミテージ・レポートを読む」『続・憲法改正問題』「自民党新憲法草案が出された背景とその危険性」「自民党の新憲法草案の内容と問題点」)、石埼学亜細亜大学准教授(参考:当サイト「今週の一言」の「『国民保護体制』と、自由の基礎としての第9条の意義」、当サイト書籍情報『デモクラシー検定―民主主義ってなんだっけ?』、そして司会の木下智史関西大学教授、の四名の方の座談会を掲載しています。
 テーマは、国民投票法成立後改憲の動きが急を告げる今、「戦後憲法学が日本国憲法の原理をどのように具体化しようとしてきたのか、その理論的営為を検証しつつ、今後の課題を探る」というもの。
 座談会のメンバーは、憲法学においてそれぞれの専門分野の第一人者であるというばかりでなく、1929年生まれの奥平教授、1942年生まれの森教授、1957年生まれの木下教授、1968年生まれの石埼准教授、という具合に「ほぼ1世代ずつ憲法学研究に足を踏み入れる時期がずれている」ことから、憲法施行後60年間の憲法学界を俯瞰するにまことにふさわしい顔ぶれといえましょう。
 戦後憲法学の出発点、憲法の原理的転換期に立ち会った奥平教授は、戦後の研究生活を通して改めて「敵は明治憲法につながっている」との思いを語られます。60、70年代に展開された主権論争に関して「権力をどう民主化していくのかというところに、憲法学の重点があった時代」と述べられた木下教授に、森教授は「背景として社会で『主権』自体がシリアスな問題になってい」たからと指摘され、当時の焦点であった安保体制の問題は、主権の担い手論と密接にかかわるはずなのに、学界内では「議論の磁場がもっぱら主権の対内的側面におかれていたことに歯がゆさも感じて」いたと述べられます。
 また80年代頃から憲法学界の問題関心が議会制論から司法権論へシフトし、憲法訴訟論が隆盛を迎えたことや、90年代以降経済のグローバル化の下、格差社会が深刻化する中で近代的人権概念が問い直されねばならないのではという言及など、戦後憲法学60年の歴史を振り返りながら示唆に富んだ論戦が繰り広げられます。
 さらに今後、司法改革の下でつくられた法科大学院が憲法研究にどのような役割を果たしうるかという点や、改憲の動きに抗して“護憲の言説”の社会的通用力を高めることの必要性などが課題として指摘されます。この座談会が全体を通して濃密な内容を孕んだものであることは疑いありません。

 日本国憲法施行60年の歴史は、いうまでもなく、現憲法に盛り込まれた憲法理念の人類史を背負って成り立っています。当研究所の連続講座「世界史の中の憲法」もオンライン配信は今月一杯となりました。世界史の中に位置づけられる憲法について学ぶ機会として、是非ご利用下さい。

【書籍情報】法律時報2007年7月号特集『日本国憲法施行60年―憲法学に求められる課題』所収 日本評論社

 

[今週の一言][憲法情報Now][中高生のための憲法教室][憲法文献データベース][事務局からのお知らせ]
[トップページ]