法学館憲法研究所は、憲法を系統的に研究し、個人の尊厳の実現をめざす非政府組織としての自由な研究機関です

法学館憲法研究所

Mail info@jicl.jp
 
今週の一言
憲法情報Now
 憲法をめぐる動向
 イベント情報
 憲法関連裁判情報
 シネマ・DE・憲法
 憲法関連書籍・論文
 ■今日は何の日?
憲法Voice
研究所・客員研究員紹介
中高生のための憲法教室

憲法文献データベース
日本国憲法全文
リンク集
 
事務局よりお知らせ
賛助会員案内
メールマガジン
ご意見フォーム
サイトマップ

憲法情報Now<憲法関連書籍・論文>

 

書籍『憲法「改正」の争点 ― 資料で読む改憲論の歴史』

K・T

 本書は、一橋大学渡辺治教授編著の改憲論資料集です。資料集、と一口に言っても、戦後に出された憲法改正草案とその関連文書ほぼ全てが網羅されていることの価値もさることながら、各資料の冒頭に付された編者のコメントで、その資料の、全体の流れにおける位置づけがよくわかるよう工夫が凝らされていることも、本書を通常の資料集とは一味違った画期的な著作にしています。
 本書の構成は、大きく2部に分けられています。

第T部 新たなねらいをもった現代改憲の時代 1990年代〜現在
  
第U部 復古的改憲の追及と挫折の時代 1950年代〜80年代

ご覧のとおり、時系列順ではありません。現代の改憲論を抑えた上で、過去の改憲論との異同、歴史的断絶性と連続性とを確認できるようにという配慮は、渡辺教授自ら「私は、憲法の問題について、決して中立的ではない。(中略)何としても憲法の改正を阻止しなければならない(中略)本書もそうした思いの一環としてつくった。」(p.005)と“はしがき”で述べられていることと無関係ではないでしょう。
 また第T部、第U部の冒頭に、憲法改正の背景やねらいについて詳解が加えられ、改憲論を軸にした戦後日本史、としても読み解くことができるのではないでしょうか。その時々の改憲構想が時代を映す鏡であることがよくわかります。
90年代以降現代の改憲は、軍事大国化と構造改革路線という戦後社会の改革と無関係ではなく、「こうした改革の一環、というよりその焦点(、、)として浮上してきている」(p.020)と渡辺教授は述べています。「9条改正」の狙いが50年代〜80年代までの改憲論では自衛隊の合憲化に絞られていた(そのためむしろ海外派兵を“しない”枠組みづくりに腐心していた)のに対し、現代の改憲論が自衛隊の海外派兵の正当化根拠を挿入することに眼目があるという指摘は重要なものに思われます。
過去と現代の改憲論のこの相違を認識することと合わせて、過去の改憲論を改めて振り返ることの意義は、この時期保守支配層に「改憲タブー」といわせるだけの国民的運動の盛り上がりのあったことを確認することで、現代の改憲阻止のとりくみへの教訓とすることができる点でしょう。

 本書編著者渡辺治教授は、ブックレット『戦争をしない国 日本』に「国民は憲法とどう向き合ってきたか」をご執筆されており、同ブックレットの出版記念イベント(7月4日)で記念講演をしていただきます。現代改憲を国民の視点から問い直す機会として、是非ご参加下さい。

【書籍情報】渡辺治編著 旬報社 2002年3月(定価 本体価格3800円+税)

 

[今週の一言][憲法情報Now][中高生のための憲法教室][憲法文献データベース][事務局からのお知らせ]
[トップページ]