法学館憲法研究所は、憲法を系統的に研究し、個人の尊厳の実現をめざす非政府組織としての自由な研究機関です

法学館憲法研究所

Mail info@jicl.jp
 
今週の一言
憲法情報Now
 憲法をめぐる動向
 イベント情報
 憲法関連裁判情報
 シネマ・DE・憲法
 憲法関連書籍・論文
 ■今日は何の日?
憲法Voice
研究所・客員研究員紹介
中高生のための憲法教室

憲法文献データベース
日本国憲法全文
リンク集
 
事務局よりお知らせ
賛助会員案内
メールマガジン
ご意見フォーム
サイトマップ

憲法情報Now<憲法関連書籍・論文>

 

書籍『我、自衛隊を愛す故に、憲法9条を守る―防衛省元幹部3人の志』

K・T

 ひとたび読み始めると、防衛省元幹部お三方の気迫のこもった“語り”に思わず引き込まれ、途中で本を置くことができなくなりました。
 本書に登場されるお三方、小池清彦氏は防衛庁教育訓練局長を経て現在加茂市市長。竹岡勝美氏は、防衛庁官房長、調達実施本部長を歴任。箕輪登氏は防衛政務次官を務められました。いずれも自衛隊と“国防”の中枢に、半生をかけて深く関わってこられた方たちです。ならば、自衛隊を憲法の明文で認知させたい、誰よりも強くそう願っておられるのではないか。
 しかし、本書を読めば、その思い込みは見事に覆されます。小池氏は、こう語ります。憲法九条がなかったら、日本は朝鮮戦争以後全ての戦争に参戦させられ、間違いなく国民は血を流すことになっていた。自衛隊の海外派兵は明確な憲法違反だ。竹岡氏は、こう訴えます。「日本の有事とは、まさに在日米軍を含む米軍と日本周辺国家との戦争に巻き込まれる波及有事のみです。」(p.64)改憲で軍隊保有を認めたら「蟻の一穴」、国家が「軍」一色に変貌することが恐ろしい。
 圧巻は文字通りイラク派兵差止め訴訟に命を賭け2006年5月に亡くなられた箕輪氏の次の言葉でしょう。国際法違反の闘いに、自衛隊を重装備で派兵する。「これが当たり前だということになれば、前例になって、あのときはこうだった、このときはこうだ、当たり前じゃないかと、当たり前になることだけを私は恐れているんです。それが軍事国家になることなんです。」血を吐くような訴えです。
 本書冒頭に、九条改憲に抵抗感のある人でも「『自衛隊のことを憲法に書き込むのはどうか』と聞かれると、『その程度なら』と賛同する人びとが多いのも事実です。」(p.4)と述べられています。しかしながら、現在持ち上がっている改憲の真の狙いが、単なる自衛隊の認知ではなく、海外派兵、まさに“戦争のできる国”への体制作りなのだということを、“国防”の中枢に関わってこられた人たち自身の口から聞かされるのですから、説得力があります。

このたび花伝社より刊行されたブックレット『戦争をしない国 日本―憲法と共に歩む』当研究所でも取り扱っています)冒頭でも「自衛隊はどう見ても軍隊だ。憲法で変な解釈をするのではなく、すなおに憲法に自衛軍と書けばよい」のではないかという声についての言及があります。同ブックレットと、そして同名のドキュメンタリー映画は、日本国憲法制定の経緯と自衛隊発足後の歩みを歴史的事実に基づいて検証し、この疑問に答えるものとなっています。
本書とあわせてご覧いただくことをお薦めします。
また、7月4日にブックレットの出版記念イベントが開催されます。多くの方々にご参加いただきたいと思います。

【書籍情報】小池清彦・竹岡勝美・箕輪登著 かもがわ出版 2007年3月 (定価本体1400円+税)

 

[今週の一言][憲法情報Now][中高生のための憲法教室][憲法文献データベース][事務局からのお知らせ]
[トップページ]