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憲法情報Now<憲法関連書籍・論文>

 

書籍『構造改革政治の時代―小泉政権論』

K・T

 本書に収録された論文は、1本を除いて全て小泉政権下に書かれたものです。
 「本書は、90年代以降、とりわけ小泉政権になって以降に加速して遂行された、日本政治と国家の大改造の原因、方向、そしてその帰結を検討した時々の論文を集めたものである。」(序章p.56)構造改革と軍事大国化を急ピッチで進めると同時に質的にも新しい段階に踏み込んだ小泉政権。構造改革政治と軍事大国化路線を分析すれば、期せずして小泉政権論ともなる。本書タイトルの所以です。
 小泉政権とは何だったのか。その本質、歴史的位置づけ、小泉政権が「断行」した「構造改革」政治・軍事大国化路線の背景と狙い、必然的に内包される矛盾。これら全ての帰結が、今の安倍政権なのだと感得せずにはいられません。
 本書は、
第1部 戦後国家の転換―小泉政権の歴史的意義(第1章、第2章)
第2部 グローバル軍事大国への道(第3章乃至第6章)
第3部 構造改革政治の検証(第7章、第8章)
第4部 保守二大政党制から憲法改正へ(第9章乃至第12章)
との構成になっています。大枠でとらえるならば第1部構造改革政治総論、第2部9.11事件からイラク戦争までの軍事大国化路線分析、第3部構造改革政治各論(教育改革、司法改革)、第4部政治状況と改憲構想分析、と整理できるのではないでしょうか。しかし、どの側面からの分析においても、常に対抗軸と対案の提起への意識に貫かれているのが本書の特徴といえるでしょう。
 自民党支持基盤であった農村部や都市自営層を切り捨てても開発主義からグローバル企業への奉仕を第一任務とする新自由主義改革への転換、対テロを奇貨とした小国主義から軍事大国化への大胆な舵取り。小泉政権がドラスティックに展開した構造改革政治と軍事大国化路線は、まるでメビウスの帯のようです。どこにも行き着くことなく、帯を切り開けば二つの環がつながる。その二つの環こそが、改憲の動機となっているように思えてきます。だからこそ、著者は「軍事大国化阻止の闘いと構造改革反対の闘いを双方提起することの重要性」(p.363)を強調されるのではないでしょうか。
 この構造改革政治と軍事大国化路線に対置すべきは新しい福祉国家、その国家構想のマニフェストたりうるのは、日本国憲法。今、国際的にも重要な意義と価値を有するこの運動の担い手は誰か。「もっとも矛盾の激しいところで、その人びとが主体になる。」(p.168)

 本書著者渡辺治教授の著書『憲法「改正」 〜軍事大国化・構造改革から改憲へ』を以前当サイトで紹介させていただきました。あらためてご案内します。

 渡辺治教授はブックレット「戦争をしない国 日本―憲法と共に歩む」に論文「国民は憲法とどう向き合ってきたか」も執筆されています。このブックレットの出版記念講演会で講演していただきます。あわせてご案内いたします。

【書籍情報】渡辺治(一橋大学大学院教授)著 花伝社 2005年12月(定価 本体価格2500円+税)

 

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