法学館憲法研究所は、憲法を系統的に研究し、個人の尊厳の実現をめざす非政府組織としての自由な研究機関です

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憲法情報Now<憲法関連書籍・論文>

 

書籍『デモクラシー検定―民主主義ってなんだっけ?』

K・T

  先頃開設しました“憲法検定 インターネット版”(当研究所ホームページ)は、もうお試しいただけたでしょうか。憲法の歴史的検証をテーマとする当研究所の連続講座「世界史の中の憲法」(オンラインでも受講できます)で培った知識、存分に腕試しいただくことをお薦めします。
 さて、今回ご紹介する書籍は、憲法検定ならぬ「デモクラシー検定」。“検定”ですが「合格発表はありません。何の資格も取得できません。」(はじめに より)だそうです。では、一体何が“試される”のでしょうか?それは、私たちがふだん当たり前のように思っている“常識”、なのかもしれません。
 民主主義の根本原則とみなされる多数決で決まったことに、反対するのはおかしい? しかし、多数決の結果は、「正解」でも「真理」でもなく、その時点でどうしても決めなくてはいけないことを“とりあえず”決めた暫定的な結論。さらに「『平和のうちに生存する権利』は、多数決をもってしても奪ってはならない人権である。」(本書p12)
 みんなに「迷惑」「不快」と思われるような行為は、権利の濫用? なるほど憲法の規定の中にも、「公共の福祉に反しない限り」云々という文言がある。でもちょっと待って。「公共の福祉」とは「他人の人権を侵害しない」という意味であり、しかも「他人」とは抽象的な「みんな」ではなく、具体的に特定できる“誰か”のこと。他人に対する人権侵害行為にまで至らぬ行為を、「『迷惑だ』『不快だ』というのは、公権力を発動するレベルではない。人はもともと他人にとって迷惑な存在なのだから。」(本書p59)
 私たちが日常不断に経験する身近な物事をとりあげながら、そこに論理の飛躍やすり替えはないだろうかと“常識”を疑ってみる。そして、なにごとも絶対化せずに、相対的な関係性の中でとらえる。このように柔軟な思考法こそ著者の真骨頂なのかもしれません。
 明治の初め、福沢諭吉はSocietyの訳語として「人間交際」という言葉を編み出したそうです。そして著者は「いろいろな人が日々織り成す『人間交際』の積み重ねが、デモクラシーを形成すると考える」(はじめに より)。人と人とのかかわり、関係性の中でこそ、個人の自由も幸福も価値がある。著者はそう考えておられるように思えます。「個人を尊重するということは、このように他人を、同じ社会の対等な構成メンバーとして認めて、かかわってみることだと私は思う。」(本書p95)
 さあ、この“デモクラシー検定”、あなたは何問“正解”することができましたか?おっと、“正解信仰”(本書p.154)にご用心。

【書籍情報】石埼学著 大月書店 2006年11月(定価 本体価格1500円+税)

 著者の石埼学さんには当サイトの「今週の一言」でも語っていただきました。
 また、石埼さんは当研究所双書『憲法の本』の書評も書いて下さっています。あわせてご案内します。

 

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