法学館憲法研究所は、憲法を系統的に研究し、個人の尊厳の実現をめざす非政府組織としての自由な研究機関です

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特集「施行60年目の憲法状況」

K・T
  サブタイトルは、「跳梁する『改憲論』に抗して」です。雑誌「世界」5月号は、憲法施行60年を迎えるにあたり「現在の憲法状況を見据えながら、いま『憲法を変える』とはどういうことを意味するのか、改めて考えてみる」として、上記の特集を組んでいます。
 現在緊迫した情勢下の国民投票法案問題については、井口秀作教授の論文「何のための『国民投票法案』なのか」、間宮陽介教授の論文「溶解する『法の支配』、衰退する『憲法感覚』」などにとりあげられています。国民投票法案は「(憲法改正の)発議ができるような状況を、人為的に作りだそうとするもの」(井口教授)、「圧倒的に改定派に有利」(間宮教授)と論ぜられ、ことに、国民投票は、「改憲の是非」が問われるのでなく、国会が定めた方向の憲法改正を承認するかどうかが問われるのだということを改めて確認する井口論文は、国民投票を巡って、混乱しがち、誤解を招きがちな論点を的確に整理しています。
 また宍戸常寿教授は、論文「選択肢は『改憲か、護憲か』だけなのか?」で、これまで「押し付け憲法論」を振りかざしていた勢力が、いまや「国民自身による憲法制定」という“粗雑なモチーフ”を仕立てていることに異議を述べ、政治過程における国民の「参加」「代表」が機能不全に陥っていることを指摘し、憲法論議に違った角度から光をあてるものとなっています。
 安倍晋三、安倍政権の狙いを分析したものとしては、高見勝利教授の論文「憲法九条の『解釈改憲』と『明文改正』―安倍の戦略と米国の影―」、ジャーナリスト東瀬雄三氏のルポ「安倍晋三が目指す“美しい憲法”」があります。
 特筆すべきは、西原博史教授の論文「『君が代』伴奏拒否訴訟最高裁判決―『子どもの心の自由』を中心に―」の問題提起でしょう。思想信条の自由、憲法19条にかかわる問題を教師の思想・良心の自由の観点からのみならず、子どもの自律的人格の尊重という観点を軸に、論文標題判決の多数意見に対する藤田裁判官補足(反対)意見を読み解きます。西原教授はそこで示唆に富む指摘をしています。「教師が職務の公共性に基づいて思想・良心の自由に対する制約を甘受せざるを得ない場合があるとしても,その職務の公共性は,究極目的としての『子どもの教育を受ける権利の達成』との関係で評価する必要がある」と。
 このほか特集では、対談「改憲論と御霊信仰」(作家・丸谷才一氏、長谷部恭男教授)や、座談会「国際社会への九条の説得力―九条世界会議の提案」(笹本潤氏、星川淳氏、吉岡達也氏、渡辺美奈氏、司会=猿田佐世氏)なども掲載しています。

 西原博史氏、笹本潤氏、吉岡達也氏については、次の通り、以前当サイトでも語っていただいています。
  http://www.jicl.jp/hitokoto/backnumber/20040628.html
  http://www.jicl.jp/hitokoto/backnumber/20051003.html
  http://www.jicl.jp/hitokoto/backnumber/20040614.html
 九条世界会議は当研究所の伊藤所長も呼びかけ人に名を連ねています。チラシはこちら(PDF)

 憲法問題を考えるには、国内の政治状況のみに目を奪われることなく、歴史的にも国際的にも、憲法を大きな時空間なかでとらえなおすことの必要性を感じます。
 当研究所の連続講座「世界史の中の憲法」も、残すところあと2回。次回第5回は「戦争と平和の歴史」、第6回は「国家と国民の歴史」です。今だからこそできる学習を、ご一緒に。オンライン受講もできます。

特集「施行60年目の憲法状況」 : 雑誌『世界』5月号(岩波書店)(定価780円)所収

 

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