法学館憲法研究所は、憲法を系統的に研究し、個人の尊厳の実現をめざす非政府組織としての自由な研究機関です

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『「日の丸・君が代」を強制してはならない 〜都教委通達違憲判決の意義』

H・O
  この本の背表紙に2つの写真が掲載されています。一つは学校の卒業式の壇上に展示された卒業生たちの制作物(「夢はでっかく、根はふかく」と描かれている)、もう一つは壇上に掲揚された「日の丸」。かつては多くの学校で、生徒たちが主人公となり、その旅立ちを工夫して祝う場として卒業式が行なわれていました。ところが、いま東京都の公立学校では、壇上の飾り付けから式次第まで、すべて東京都教育委員会の指示が徹底されているのです。
 東京都教育委員会は2003年10月23日に通達(「10.23通達」)を出し、学校現場に国歌・国旗を強制しました。政府が強制はしないと明確にしていたにも関わらずに。国歌を歌わず、起立しなければ処分されることが明白となり、教師たちは「10.23通達」の違憲・無効を求め提訴しました。2006年9月21日、この裁判で東京地裁は「国歌を斉唱する義務のないことを確認する」判決をくだしたのです。この本は、この裁判と判決の意義について、裁判に至る経過や当事者の思いなども辿りながら明らかにしたものです。この判決は教師たちと国民の「思想・良心の自由」を守る、画期的な内容でした。また、学校現場における主人公は生徒であり、決して国家ではないという、憲法の理念を守る内容でした。
 この判決に対して都教委は控訴し、「10.23通達」はいまも学校現場に適用されています。「君が代」斉唱の際の不起立の教師への処分も続いています。「君が代」のピアノ伴奏を拒否したことが争われた裁判で、本年3月、最高裁は教師の敗訴としました。昨年12月には教育基本法も改悪されました。
 憲法で保障された「思想・良心の自由」とは何なのか。いまこそ、その意義を語り合い、守りぬかなければならない時のように思われます。

 この裁判については当研究所HPの「憲法関連裁判情報」でも取り上げてきました。
 この本の著者は当研究所HPの「今週の一言」で語っていただいた澤藤統一郎さんです。
 この問題のドキュメンタリー映画「君が代不起立」を制作した松原明さん・佐々木有美さんにも以前「今週の一言」で語っていただきました。

 それにしても、憲法を擁護・尊重しなければならない政府や権力者の横暴に対して司法はその役割を毅然と果たしてもらわなければなりません。「民主主義」ということの意味をあまり吟味することなく過ごしてきた私たち国民は、選挙で選ばれた政治家の振る舞いへの監視が不十分ではないでしょうか。憲法は、国民の自由・権利を多数の力で抑圧してはならないという原則を謳っています(立憲主義)。多くの政治家のこのことについての認識は不十分です。それは私たち国民の側の理解も不足しているから、ともいえるでしょう。立法府と司法府の関係、権力分立の趣旨、などをあらためて当研究所の連続講座「世界史の中の憲法」(オンライン講座はこちら)で学習していきたいものです。

【書籍情報】2006年12月、岩波書店から岩波ブックレットとして刊行。著者は澤藤統一郎さん(弁護士)。定価(本体480円+税)。

 

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