法学館憲法研究所は、憲法を系統的に研究し、個人の尊厳の実現をめざす非政府組織としての自由な研究機関です

法学館憲法研究所

Mail info@jicl.jp
 
今週の一言
憲法情報Now
 憲法をめぐる動向
 イベント情報
 憲法関連裁判情報
 シネマ・DE・憲法
 憲法関連書籍・論文
 ■今日は何の日?
憲法Voice
研究所・客員研究員紹介
中高生のための憲法教室

憲法文献データベース
日本国憲法全文
リンク集
 
事務局よりお知らせ
賛助会員案内
メールマガジン
ご意見フォーム
サイトマップ

憲法情報Now<憲法関連書籍・論文>

 

特集『靖国を考える』

H・T

小泉首相が15日に、靖国神社に「内閣総理大臣」の肩書きで参拝しました。参拝を含めて、『靖国問題』は、憲法の基本的な理念に触れる極めて重大な問題であり、これに関する特集をご紹介します。首相の参拝の意味の本質を理解するのに役立つでしょう。

靖国神社の歴史観について、二人の方が異なる角度から論じています。保阪正康氏(ノンフィクション作家・評論家)は、「靖国神社とA級戦犯」と題して、A級戦犯の合祀を進めた歴史観を問うています。合祀したのは就任間もない松平宮司だったことは昭和天皇の発言を記録した「富田メモ」によっても最近確認されました。保阪氏は、A級戦犯は戦場で死んだ御霊だったと考えていた松平氏を靖国神社の宮司に就かせることによって、戦犯の合祀を実現させようとした背後の勢力や、当時の厚生省の関与に触れています。一人の宮司の方針に問題を矮小化することに警告を発している文章です。

ジョン・ブリーン氏(ロンドン大学助教授・日本近代史)は、遊就館などの靖国神社の各種の展示や儀礼を検証しています。注目されるのは小泉首相も2回参拝した春秋の例大祭の分析です。首相が8月15日に参拝した意義について、「首相は例大祭にも参拝しているし、それと比べても同じような問題だ」として弁護する政治家の発言がありますが、ブリーン氏は、春秋の例大祭は靖国神社の「最も厳かで大規模な儀礼であり、特徴づけるのは天皇が派遣する勅使の姿である」と説明しています。そして、宮司の祝詞や神職の意見を紹介しつつ、「英霊としての戦没者に与えられた主な任務は、軍人として戦っていた時の任務と何ら変わらない。あの世からも天皇に仕える…こととされている。まさに天皇が主で、祭神が従のはずである」と記しています。だとすれば、これは、「国民統合の象徴」としての天皇(憲法1条)の、「国民統合」のあり方に関係し、有形無形の天皇の関わりは政治的な意義・効果を持っていないのか、という大変大きな問題を含んでいるように思われます(私見)。

8月11日、国と宗教法人・靖国神社を被告にして合祀取り消し訴訟が大阪地裁に起こされました。日本の戦没者の遺族から、また、同神社を被告にした合祀が法的に問われるのは初めてのことです。田中伸尚氏(ノンフィクションライター)が、合祀取消しを求める4人の戦没者遺族の思いをルポしています。

雑誌 『世界 9月号』(2006年9月1日発行。岩波書店。税込み780円)所収

 

[今週の一言][憲法情報Now][中高生のための憲法教室][憲法文献データベース][事務局からのお知らせ]
[トップページ]