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書籍『新聞は憲法を捨てていいのか』

H・T記

私たちが個人として新聞から自立した考えを持つには大変なエネルギーを必要とします。まして「世論」が新聞から自立することなど不可能とさえ言えます。新聞が伝える情報や主張は世論を形成しますし、最大の政治問題とも言える憲法「改正」問題は、最も多くの部数を誇る全国紙の提言が大きなきっかけになりました。

本書は、このように民主主義社会において決定的な役割を担っている新聞が、憲法とどのように向き合っているのかを理解するための好著です。著者は、長い間共同通信の記者、編集幹部を務め、現在は大学でジャーナリズム論などを教えている丸山重威氏です。
氏は、「憲法を捨てていいのか」と問題提起している「憲法」とは、@日本国憲法そのもの、A戦後の新聞が成り立つ基盤となった戦後精神、B「ジャーナリズム」の原理=権力への批判精神です。

この観点から見た場合、特に全国紙は権力側から見た事柄に報道が偏りがちで、「世界社会フォーラム(WSF)」(関連情報)や国連のアナン事務総長の提唱で作られた「GPPAC」(関連情報)、あるいは「9条の会」など、世界や日本各地で9条の輪を広げようという運動が高まっている様子が伝えられていないとします。権力側の視点から見た「現実」を「これが現実だ」として「現実に憲法を合わせる」ことの問題性は、当研究所編『日本国憲法の多角的検証』で浦部教授も重大視しています。丸山氏は、社説などを豊富に検証し、「朝日、毎日も肝心の課題についての方向性を示さず、曖昧な印象はぬぐえない。ジャーナリズムとしての主体性(関連情報)が改めて問われる」「全体としてマスコミが改憲ムードを作っている」とします。
これに対して、合計で2000万部といわれる地方紙は、概して護憲ないし改憲慎重論です。それらの論説・主張が大きなスペースを取って紹介されています。地方紙の率直な論調を知り、全国紙の主張を客観的に見るのに大変役立つでしょう。

なお、共同通信は、かつて憲法9条幣原喜重郎元首相発案説を報道して注目されました。筆者もこの見解を支持しています。元首相とその秘書の生々しいやりとりを記録したメモが紹介されており、一読に値します。

【書籍情報】2006年7月、新日本出版社から刊行。定価1900円+税

 

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