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憲法情報Now<憲法関連書籍・論文>

 

書籍『続・憲法改正問題』

憲法学の研究者が結集している「全国憲法研究会」は、昨年5月、「憲法改正問題」を刊行し、64本の論文を発表しました。本書は、その後の重要な展開による「新たな論点、前書では立ち寄りきれなかった論点をフォローするとともに、最新の資料を補充した続編」(森英樹代表(龍谷大学)の「序」より)です。

重要な展開としては先ず、前回書籍の脱稿直前に衆参両院の憲法調査会による最終報告書が提出されました。これについて、水島朝穂教授(早稲田大学)による「憲法調査会とはなんだったのか―その役割と機能」が掲載されています。教授は、「憲法とは何か」についての十分な認識を欠いたまま、憲法の本質に関わる議論よりもその周辺事情に膨大な時間が割かれ、「改憲一般についての国民の抵抗感を減らすことに発足の意味があったのではないか」としています。

次いで、昨年10月末から11月にかけて発表された自民党の「新憲法草案」と、民主党の「憲法提言」があります。「新憲法草案」は、96条の憲法改正要件である国会の発議要件を単純過半数に緩和しました。長谷部恭男教授(東京大学)は、「改憲発議要件の緩和と国民投票」において、憲法が特別多数を要するとした趣旨を論じつつ、「改憲要件が緩和されれば、同じように穏やかな改憲案が提案されるとは期待しない方が賢明だろう。」としています。

上脇博之教授(神戸学院大学)は、「政党の改憲への動き」において、自民、民主両党の改憲案の異同と、「憲法改正」でなく「新憲法制定」であると表明されている理由を論じています。

森教授は、「序」において、通常国会で提出され、継続審議となった「国民投票法案」と「教育基本法改正案」を、憲法改定に向けた前段階として位置づけています。加えて、これらの動きが米軍再編と同時進行していることに注意を喚起しています。
そこで、「国民投票法案」については、井口秀作助教授(大東文化大学)が、その問題点を批判的に検討しています。与党案と民主党案の違いはそれほど大きくなく、「国民よりも政党を、改正反対派よりも賛成派を優遇」するという両案に含まれた重大な問題点を指摘しています。
寺川史朗助教授(三重大学)は、「教育基本法改正案と憲法改正動向」と題する論文で、教育基本法の「改正」と憲法改定の関係にも言及しています。
次いで、「憲法と基地問題」において、麻生多聞助教授(鳴門教育大学)は、今進行している状況について、単に「基地問題」としてではなく、「米軍の全世界戦略を支える戦略的前線基地として日本を組み込むこと」として捉えなければならないと警告しています。

改憲論議では「国民主権」が強調される傾向にあります。そこで最後に、本秀紀教授(名古屋大学)が、「民主主義の展望」の中で、改憲案に見られる民主主義観を解説しています。本来の民主主義といかにかけ離れているかを、分かりやすく簡潔に説明しています。教授は、それに続けて、憲法学で展開されている民主主義論を論じています。専門的で理解は大変ですが、今の理論状況を把握なさりたい方には、かっこうだと思われます。

【書籍情報】雑誌『法律時報増刊号』として2006年7月発行。日本評論社。税込み2200円。

 

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