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論文「九条―アジアのものになりえるか 韓国からの問い」

韓国・仁荷大学の李京柱教授が日本の改憲動向について韓国の状況をふまえて分析しています。李教授には以前当研究所ホームページの「今週の一言」に登場していただきました。
李教授はこの論文で、韓国が分断国家であることから戦争をやむを得ぬものと考えられがちであったこと、したがって平和運動=反米運動=親北運動と考えられがちであったこと、しかし最近は平和運動が広がってきていること、などを述べながら、日本で平和主義に逆行する動きが生じていることに懸念を表明しています。つまり自民党新憲法草案の内容が9条を変え、軍隊の創設をはかろうとしていることに疑問を投げかけています。曰く、「隣国、特にアジア諸国に影響を及ぼす日本の改憲はただ日本国内の問題にすぎないのではなく外交軍事政策の変化なので隣国でも懸念せざるをえない」。李教授は同時に、いま韓国の平和団体の中で日本国憲法9条は「アジアの宝物」だという認識が広まってきていること、学生たちに日本国憲法は非武装平和主義を60年も貫いたと語ると歓声があがるということも紹介しています。
李教授はまた、韓国では長い間憲法というものが国民を統治する文書として理解されてきたこと、したがって国家の安全などのためには国民の人権は制限されるとの理解が強かったこと、しかし最近は人権の過剰な制限は無効であるとの考え方が広がってきていること、などを述べながら、日本の自民党新憲法草案の内容が韓国での動きとまったく逆方向になっていると指摘しています。自民党新憲法草案が、新たに「公の秩序」という考え方で人権を制限できるとしているからです。

日本国憲法、とりわけ9条の「改正」は今後ますます韓国やアジアの人々から注目されることになるでしょう。いま、韓国でも憲法は国家権力を縛るものであるという立憲主義の考え方が広がってきていますが、日本社会においてもこの考え方の普及はいよいよ重要になっていると思われます。「憲法は国民を統治する文書」という誤った理解は今日の日本にも横行しているのではないでしょうか。

論文情報 : 雑誌「季刊・現代の理論」(06新春号)(発行・言論NPO・現代の理論、発売・明石書店、定価1200円)所収

 

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