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映画『500年 - 権力者を裁くのは誰か』(原題:500 years)


花崎 哲さん(憲法を考える映画の会)
                                                           


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 グァテマラという国にどのような印象をお持ちでしょうか?この国の先住民族の人々が、スペインの支配やアメリカに支持された軍事政権の抑圧を受けて500年の歴史があります。
 その「500年」がこの映画の題名にもなっています。その500年後に何があったのか?
 この国で近年、民衆の力で大統領が「人道に反する罪」で裁かれました。これは世界でも初めてのことです。さらに政権を倒すに至った大きな市民運動がどのように創られていったか、映画は、いまの私たちの活動にたくさんのことを教えてくれます。

【作品の解説】
 歴史的な裁判シーンが、この映画の前半のハイライトとなる。
 1980年代、中米の小さな国グァテマラで、軍が20万人以上のマヤ先住民を虐殺し、 100万人の難民を生んだ。それから30年以上の時を経て、このおぞましい事件の責任を問うために、元国家指導者が大量虐殺の罪で訴追される。元国家元首が、自らの国で、虐殺の罪で裁かれるという前代未聞の裁判。
 この裁判で、イニシアチブを取ったのは、女性たちの姿だった。民族衣装をまとった姿で、家族を虐殺され、自らもレイプ被害に遭った先住民の女性たちが命を賭けて証言するその法廷で、その「人道に反する罪」の首謀者として、リオス・モント元大統領を裁く裁判長も女性。 一方で、そのリオス・モント元大統領を「良き父であり、虐殺はでっち上げ」と主張する美しく着飾った白人女性の娘スリ・リオス。(「500年」公式サイトより)

 この「500年」というドキュメンタリー映画を作った非営利映画制作団体 Skylight社のスタッフは、2010年「グラニート・独裁者を追いつめろ」(「シネマ・DE・憲法」2016年3月21日紹介)を制作しています。
 そこでは1980年代のグァテマラでの虐殺事件の責任を問うために、スペインでの国際法廷で審判を求める運動をカメラが追いました。しかし、その裁判で、リオス=モント元大統領は有罪を宣告されたにもかかわらず、グァテマラ当局は、引き渡しを拒絶します。
 「ならば、この犯罪はグァテマラ人が自らの手で裁かなくてはならない」
 人権運動家らの動きで、ついに始まったグァテマラでの歴史的裁判が、この映画の前半の見どころとなります。
 過去の虐殺を明らかにし、その人道責任を問う裁判、いまも続く軍事政権の弾圧、汚職腐敗に怒る民衆の直接行動が自由と民主主義を求める闘いに進化していきます。その中にあっても長く抑圧され続けてきた先住民族の抗う精神と闘い方が活かされ、連帯されていきます。とくに女性達がその先頭に立っている姿が光ります。

 「記憶にとどめておくことが闘いです。」
 「愛情でつくられるネットワークでなければ長続きはしません。」
 長く横暴を極める権力と闘った中から得られた自信に満ちたことばが、運動を担って闘い続ける人々から聞くことができます。

 被告席にあったのはあるいは「司法」そのものだったのかもしれません。
 権力側の思いのままだったこの国の司法制度は、ずっと恐怖政治の手先でした。「グァテマラの司法制度は巨大な怪物のようなものです。スーツを着てピカピカの靴を履いていますがね。」国民は司法に対して信頼のカケラもなく、それに権力は驕り高ぶっていました。メディアもまた。
 それをどのように味方につけ、自分たちは権力と闘う武器の一つにしていったのか、どのように政権側がしくじったのか、それをどのように糾し、追い詰める材料にしていったのか。それは何より「正義」を訴え、人々に根気強く伝え、世論を味方につけていった闘い方にあります。
 いまの私たちはその住民運動、市民運動の方法論に学ぶところが多いのではないでしょうか。
 いまの日本で私たちが置かれている状況と重ね合わせ、これからどうして闘っていったらよいのか、何が大切なのかを考えていくアドバイスを、この映画は教えてくれます。
【スタッフ】
監督:パメラ・ウェイツ  
編集:ピーター・キノイ  
製作:パコ・デ・オニス  
撮影:メル・ヴァン・エッセン、レネ・ソーザ  
制作:Skylight Pictures,Inc.
日本版字幕翻訳:長谷川ニナ 八木啓代
日本版字幕制作後援:上智大学グローバルコンサーン研究所

【出演者】
イルマ・アリシア・ベラスケス=ニマトゥ
マティルデ・テラーサ=ガジェゴ
ダニエル・パスクアル=エルナンデス
アンドレア・イシュチウ=エルナンデス
フリオ・ソロルサノ=フォッパ
アメリカ・グァテマラ合作映画/2017年制作/108分
公式サイト
予告編

【上映予定】
と き:2017年11月13日 17時
ところ:上智大学 図書館9階 - 911会議室(〒102−8554 東京都千代田区紀尾井町7-1)
(JR中央線、東京メトロ丸ノ内線・南北線/四ッ谷駅 麹町口・赤坂口から徒歩5分)
上智大学 Open Research Week企画(本邦初公開)
入場無料・日本語字幕付き

【問合せ】
 憲法を考える映画の会 hanasaki33@me.com


 
                                                           


<「シネマDE憲法」関連情報>

「憲法を知ることは、リアルと普遍の間を何度でも行き来すること——『映画で学ぶ憲法』」志田陽子さん(武蔵野美術大学造形学部教授)



 

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