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映画「ボローニャの夕暮れ」


                              
H・T

 1938年のイタリア、ボローニャ。ムッソリーニが率いるファシスト党による抑圧が人々の生活を覆う日々。妻デリアと1人娘ジョヴァンナを愛するミケーレ・カサーリ一家は慎ましい日常を送っていました。

 ジョヴァンナは思春期を迎えた自分の心をうまく表現できず、繊細で恋愛にも引っ込み思案な17歳の高校生。美しく闊達な母に憧れと劣等感も感じていました。ジョヴァンナと同じ高校の美術教師であるミケーレは、どこまでも善良で娘を溺愛するパパ。ミケーレは娘が心配で、娘がひそかに想いを寄せる男子生徒に対する恋の導きをします。彼のおせっかいは、ジョヴァンナが親友を殺害するという思わぬ悲劇を生みます。ジョヴァンナは責任能力がないと判定され刑を免れ矯正施設に。ミケーレは「父さんの気持ちは変わらないよ」と、熱心に施設を訪れます。

 一方、デリアは夫と娘にどこか距離感を持っていました。平凡な夫と娘にあきたらず、ミケーレの親友でムッソリーニを支持する警察官セルジョに想いを通わせていました。ジョヴァンナに一度も会おうとしないデリア…。デリアを一途に愛してきたミケーレは、愛とは強要するものではない、として彼女がセルジョと暮らすことを勧めます。時代の空気とは逆に、彼女が自分の気持ちに正直に生きること=自由を認めたのでした。それは、ミケーレのデリアに対する愛のもう一つの形でした。

 1945年4月、戦争が終わりボローニャではパルチザンによるファシスト狩りが行われ、セルジョも銃殺されます。日本と全く違った光景に、私たちの終戦のあり方を考えさせられるシーンです。そして24歳になったジョヴァンナは退院し、ボローニャの自宅でミケーレと暮らします。

 時は流れ、1952年、ある夜父と行った映画館で、ジョヴァンナは新しい恋人を同伴したデリアの姿を見つけ、声をかけます。14年ぶりの再会でした。

 原題は「ジョヴァンナのパパ」。家族に対する無償の愛を貫いたミケーレとその娘の物語という点では原題の方がぴったりでしょう。でも、平凡な朝が、時代の狂気の中で殺人と事実上の離婚というある意味での狂気に変わり、そしてまた戦後の落ち着きとともに、平凡な夕暮れを迎える―その意味では「ボローニャの夕暮れ」は濃密な1日のようにも見えます。自由を認めた男が、強要されない愛を獲得する―時代背景との交錯が感じられます。この映画は本国では大ヒットし、どこにでもいそうな冴えない風貌の中年男の非凡さを演じたシルヴィオ・オルランドは、ヴェネチア国際映画祭主演男優賞を受賞しました。

 家族と国家、二つの終戦をもたらしたものは何だったのでしょうか。

【映画情報】
製作:2008年 イタリア
監督・脚本・原案:プーピ・アヴァーティ
原題: Il papa di Giovanna
時間:104分
出演:シルヴィオ・オルランド/フランチェスカ・ネリ/ エッジオ・グレッジオ/ アルバ・ロルヴァケル/ セレナ・グランディ
上映館:東京・銀座シネパトス、大阪テアトル梅田他で公開中
公式サイト


 
                              

 

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