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映画「パリ20区、ぼくたちのクラス」


                              
K・T

パリ20区、さまざまな人種が集う労働者と移民の街。この地区の公立中学校が映画の舞台です。ドキュメンタリーと見まがうばかりのリアルさ。教師生活4年目のフランス語(国語)教師フランソワ(役・フランソワ・ベゴドー)と、彼が受け持つクラスの24人の生徒たちの新学期から学年末までの1年が綴られます。クラスメートの顔ぶれは、アフリカ(アルジェリア)系、中国系、カリブ系、そして白人と多彩で、学校生活も地域社会の縮図の様相を呈しています。しかも生徒は14、5歳、反抗期真っ盛りで、とても一筋縄ではいきません。教師に対する揚げ足取りは日常茶飯。生徒間に反目があっても、教師との対決シーンでは微笑ましくなるほど一致団結。そんな彼らに対し、正面から人間としてのかかわりをもとうとする教師フランソワの悪戦苦闘ぶりが描かれます。

フランスの教育制度では、6歳から16歳までの10年間が義務教育とされ、初等教育5年(6歳〜11歳)、中等教育5年(11歳〜16歳)となっています。特筆すべきは、各クラスから選出される生徒代表、父母代表、教員が参加する会議で学校運営に関する様々な議題が話し合われ、決定されること。生徒の成績、進級の可否についての議論もすべて生徒に公開され、かつ、最終判断こそ学校側に委ねられるものの決定にかかわる投票においては、生徒代表も教師・父母代表と同等の1票を行使できます。
映画の中でも、成績会議や問題行動を繰り返す生徒の処分にかかわる懲罰会議の様子が描かれ、生徒・教師がそれぞれどのように受けとめているかが伝わってきて、このプロセスそのものが教育実践のひとつであることに気づかされます。

そこから浮かび上がるのは、徹底した「個人の尊重」。
例えば授業の中で生徒の意見が脱線しかかったとき、フランソワが生徒に呼びかける言葉は「言いたいことがある。いいかな?」。教師が生徒に発言許可を求めているのです。教師は、知識や経験において生徒を教え導く立場にあるが、一個の人間としては全く同等である。そんな意識がごく自然に、隅々まで浸透しているようです。フランスの公教育制度は、1789年の市民革命と機を一にして生まれたといわれます。フランス人権宣言「自由と平等」の精神が今なお息づいていることの証なのでしょうか。
翻って日本ではどうでしょう。日本国憲法の理念は、教育内容にどのように生かされているでしょうか。憲法理念を教育のあり方に反映させていくためにも、憲法そのものの価値を学ぶことはますます重要になっています。DVD映像教材(ガイドブック付)中高生のための映像教室「憲法を観る」(詳しくはこちら)は、憲法の基本的な考え方を伝えるものです。あわせてご案内いたします。

【映画情報】
製作:2008年 フランス
監督:ローラン・カンテ  原案:フランソワ・ベゴドー
脚本:ローラン・カンテ、フランソワ・ベゴドー、ロパン・カンピョ
時間:128分
出演:フランソワ・ベゴドー、フランク・ケイタ、エスメラルダ・ウェルタニ、ウェイ・ホァン、ラシェル・レグリエ 他
上映館:岩波ホールで公開中(6/12〜8/6)
公式サイト

 
                              

 

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