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映画「てぃだかんかん―海とサンゴと小さな奇跡」


                              
K・T

潮溜まりで日永ヤドカリを見つめ続けて倦むことのなかった少年と、海には人魚がいると信じていた少女が出会い、大人になって結婚しました。大人になったかつての少年は、白骨化したサンゴ礁を甦らせ、沖縄の海を上等にしたい、妻と子どもたちにきれいな海を見せてあげたいと、前例のないサンゴの養殖にとりくみます。彼とその家族と仲間が待ち望むサンゴの産卵……。ファンタジーのような実話を下敷きにした映画が生まれました。沖縄の海で。

経営順調だった自分の店を投げうって、サンゴの養殖にとりかかったものの、前途多難。海洋学の専門家からは嘲笑われ、怪しげな不動産コンサルタントからは詐欺まがいの仕打ちを受ける。主人公金城健司(役・岡村隆史)は、何度もくじけそうになりながらも、信念を貫き続けます。養殖の場を確保するために漁業組合長(役・國村隼)とぶつかり合う中で育まれた友情も、彼を支えます。
“立派なことをしたわけじゃない。ただ、自分の子どもに、かつて自分の見たもっときれいな海を見せたかった。自分の母は、前はもっときれいな海だったと言った。おじいはその前はもっときれいな海だったと言った。自分は、孫が生まれたら、こんなきれいな海とサンゴは見たことがない、と言いたい。”
たった一人の思いから始まった、サンゴの養殖事業は、家族と仲間に支えられて、養殖サンゴの産卵という世界初の快挙に結実します。

エルニーニョ現象による海水温の上昇でサンゴが死滅しているという報道を聞いた金城は、はっきり「違う、これは人災だ」と断言します。急速に進む海の埋立て、開発。人災の最たるものが、戦争であり、戦争遂行のための軍事基地であることは言うまでもありません。今、普天間移設をめぐって、県外・国外移設を求める沖縄県民の声がうねりとなって広がっています。基地が、安保が沖縄県民に多大な犠牲を強いていることへの怒りが原動力であることはもちろんですが、それと同時に、これ以上沖縄の海を荒らされてたまるかという願いもまた、切実なものであるに違いありません。“きれいな海”がそこにある、それだけではお腹の足しにならない、けれど利害得失を超えて幸福を見出す能力があるところに、人間の値打ちがある。そんなことを思い出させてくれる映画です。そして、人の感じる幸福がさまざまであっても、幸福を追求する権利を、憲法は保障しているのです。

普天間の移設先候補とされている辺野古には、絶滅危惧種のジュゴンが生息しています(今週の一言「普天間基地閉鎖と辺野古新基地建設反対闘争」(http://www.jicl.jp/hitokoto/backnumber/20091221.html)もご参照下さい)。映画の中で、子どもの頃人魚の存在を信じていた金城健司の妻、由莉(役・松雪泰子)は、「あんた、まだ海に人魚がいると信じているの?」と訊かれ、こう答えます。「うーん、普通の海にはやっぱり人魚はいないよね。でも、沖縄の海にはいると思う」。このままでは、沖縄の海からも、人魚が消えてしまいます。


【映画情報】
製作:2010年 日本
監督:李闘士男
原作:金城浩二
時間:120分
出演:岡村隆史、松雪泰子、國村隼 他
上映館:ヒューマントラストシネマ渋谷 他、全国で公開中
公式サイト

 
                              

 

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