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映画「獄(ひとや)に咲く花」


                              
H・T

 「松下村塾」で知られる吉田松陰(1830-1859)の、野山獄時代にスポットを当てた作品です。

 松陰は情報収集の並外れた行動家でした。押し寄せる欧米列強に対抗できる日本にするには何をすべきか、その情念が彼を突き動かしました。幼くして修めた山鹿流兵学が世界の時代遅れになったことに気付くや、西洋兵学を学ぶため20歳で九州に遊学します。次いで、江戸に出て佐久間象山に師事、そして東北地方に行き見聞を広めます。1854年(安政元年)には下田沖に再来航していたペリーの艦隊に向かってアメリカ密航を望みますが適いませんでした。

 映画は、密航を企てた罪人として、同年10月、郷里の長州・萩の野山獄に収容されるところから始まります。様々な罪で獄につながれた囚人たちは生きては出られない運命にあり、自暴自棄に陥り無為に過ごしていました。しかし、松陰はここでも熱心に勉学に励み、また囚人たちの長所を評価するなどして心を開いて行きます。俳句、習字を共に習い、「孟子」の講義も始めます。「我らは皆、磨けば光る原石であります」「大切なのはあなたが今何をしているか、これから何をするかです。過去を振り返っても仕方がありません。」。映画のセリフです。
 「拗ねきった囚人たちの間に、学習の気運を導き出した松陰の至誠の才腕は瞠目すべきだ。」(堅山忠生著「吉田松陰起つ」)。

 囚人の一人に、高須久という女性がいました。実在した人です。荒んだ日々を過ごしていましたが、すべての人を一途に愛する松陰の姿に次第に惹きこまれてゆきます。松陰と久のプラトニックな愛は感動的です。久を演じる近藤はなの、実父である目黒祐樹との親子役も話題になっています。

 松陰は、翌1855年12月、囚人たちに惜しまれながら、突然出獄を許され、父の手許で謹慎生活に入ります。1857年(安政4年)には叔父が主宰していた松下村塾の名を引き継ぎ、自宅の敷地に開塾します。塾には、松陰の名を慕って、長州藩の下級武士である高杉晋作、伊藤博文、木戸孝允、山縣有朋、久坂玄瑞など、後に幕末から明治時代を担う志士たちが続々集まって来ました。

 「松陰は、‥‥ヨーロッパ語でいえばpersonification、ただ理論をしゃべってるだけじゃない。まして自分の利益のために何か言ってるんじゃない。どうしても改革するのは今だ、われわれがやるほかないという信念、それは燃えるような信念だったのでしょう。その熱い信念は聞いている人たちによく伝わった。伝わりすぎるくらい伝わった。」「松陰の魅力?体現化された政治的情熱ですよ。」(加藤周一著「吉田松陰と現代」)。

 しかし、その激しい尊皇攘夷の言動のため、1859年、江戸に送られ安政の大獄で斬首されました。享年29歳でした。

 なお、韓国のソウル郊外にある独立記念館には、韓国・朝鮮を植民地化した日本人として松陰の写真が掲げられています。松陰は、アジアの近隣諸国の領有を主張していました。

【映画情報】
製作:2009年 日本
監督:石原興
原作:古川薫
脚本:松下隆一/水野青洞
時間:94分
出演:前田倫良/近衛はな/目黒祐樹/赤座美代子/池内万作 /神山繁
上映館:有楽町スバル座他全国で公開中
公式サイト

 
                              

 

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