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「南京・史実を守る映画祭」(2009年12年13日、世田谷)に参加して


                              
T・S

 当サイトで、紹介した「南京・史実を守る映画祭」に参加しました。
 その中のシンポジウムの要旨を掲載します。
 10時開場、10時30分からの上映ということで、10時20分頃、会場に到着しました。会場がどんな雰囲気なのか、ちょっと不安やら、緊張もしましたが、実際には会場の外で、右翼らしい人達5人が、車の脇で立ち話をしていただけでした。目が合ったので、会釈したら、無視されました。制服警察官は2人いました。右翼がスピ−カーで、ガンガンやっていることを想像していたせいか、ちょっと拍子抜けしました。

<シンポジウムの要旨>
 映画上映の中間で行なわれたシンポジウムでは実行委員の熊谷伸一郎さんの司会で、鈴木邦男さん(一水会最高顧問)と武田倫和さん(映画監督)と実行委員の荒川美智代さんの興味深い話が聞けました。鈴木邦男さんは、著名な右翼の論客です。武田倫和さんは、『南京・引き裂かれた記憶』の監督です。

1)上映問題について
 実行委員の荒川さんは、1年かけてここまで準備してきました。この映画祭の問い合わせを直接、電話で受けたエピードでは、「いやがらせの電話はなく、問い合わせの参加希望者が、『覚悟して行く』と、電話口で言っていた」との話があり、会場で笑いが起きました。
 鈴木さんが言うには、右翼には第一次情報がなく、週刊新潮や産経新聞に掲載されると、「行かなきゃいけない」と思うそうです。
 監督の武田さんも以前、映画の開催を告知すると、抗議よりも警察から連絡があり、上映妨害対策のアドバイスがあったと、言います。週刊新潮にも試写会の知らせはしたが、来なかったそうです。

2)映画の内容について
 鈴木さんは右翼の立場から、映画について「観てきつかった。観たくないと思うこともある」と、率直な感想を述べました。右翼は戦争否定イコール自己否定と思う傾向があるが、日清、日露、太平洋と、なぜくだらない戦争をしたか、検証する必要がある、戦争を振りかえるときは少々自虐的に見たほうが、国としては健全と言います。

3)元日本軍証言者について
 熊谷さんは、元日本軍証言者のインタビューの経験から、彼らは生きている間に言っておきたいという気持ちで、青春の1ページとして語り、楽しいという感覚を垣間見ることもあり、中国人に対する蔑視が感じられたと言います。
 鈴木さんも、証言者は加害者の意識より、自分たちも被害者という意識から、安心して話している、インタビューを何度も受けるとしゃべりもうまくなり、経験なのか、伝聞なのか、区別して話していただく必要性を強調しました。加えて、被害者人数を大きく言う運動論には苦言を呈するも、1万人でも、5万人でも、大虐殺に変わりはないと断言しました。

4)言論の自由について
 熊谷さんは、映画「靖国」の上映に際して、右翼が中身を観ないで、上映に抗議したのは、おかしいと当時を語りました。
 鈴木さんは、右翼は自分で作品を観ないで、週刊新潮の記事で判断しているだけで、人前で議論する度胸がないと指摘しました。同じ思想の人だけ、集まってもだめ、安易に結論を出さない、自由な言論のある社会にしたいと思いを語りました。
 鈴木さんは、もし南京事件のような映画を上映するときには、右翼対策に「私を呼んで」と言い、会場を沸かせました。
 史実を伝えることの難しさはシンポジウムのパネラーの方の共通認識でした。
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 映画『南京・引き裂かれた記憶』は 南京事件を追いかけてきた松岡環さんが約10年に渡って取材した中国人被害者6名、元日本軍兵士7名のインタビュー映像を観た武田さんが、トータルで体感したいとして、映画化しました。悲惨な情景を被害者と加害者の視線と記憶で語る構成によって、南京大虐殺の実態がわかりやすく、新鮮に感じました。
 他3編を含め、一人ひとりを見れば、戦中も現在のそれほど、変わりがない日本人が、特定の条件下であったとはいえ、これほど残酷な行為ができることを記憶に刻むべきだと、改めて考えさせる映画でした。
 今後も、平穏に上映活動が広がるとともに、史実についても、自由に議論ができる社会であるように、願って止みません。

*当サイトの「今週の一言」では、以前、石山久男さん(「南京への道・史実を守る会」呼びかけ人の一人)に南京事件について語っていただきました。
 また、「アジア・太平洋地域の戦争犠牲者に思いを馳せ、心に刻む集会」実行委員会事務局長の中竹忠浩さんにも、「戦争犠牲者に思いを馳せ、心に刻む」を語っていただきました。
 
                              

 

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