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テレビ「NHK教育 ETV特集 シリーズ日本と朝鮮半島2000年」


                              
K・T

 昨年4月より、NHK教育テレビ・ETV特集(毎週日曜日午後10時〜)では、教育テレビ開局50周年企画として、月1回ほどのペースで「シリーズ 日本と朝鮮半島2000年」(全10回)を放映してきました。昨年12月までに、第9回までを終え、先日1月3日には、NHK総合テレビで同シリーズのスペシャル版が放映されました。今年1月31日にシリーズ第10回の放映が予定されています。

 第9回までの放映では、最新の研究成果を踏まえ、古代から江戸時代に至るまでの日本と朝鮮との関わりにおける、これまで知られてこなかった面に光を当て、描き出してきました。従来の常識的知識が覆されるような幾つもの歴史的発見を紹介しています。例えば、“任那日本府”とは、私たちが歴史の授業で教わったような倭国による朝鮮半島南部地域の支配拠点ではなく、伽耶という独立した朝鮮の一支配勢力下に倭人が駐留していたに過ぎないという説が有力になりつつあること。日本の律令国家体制づくりに、隋・唐のみならず、高句麗・新羅・百済が深く関わっていたこと。日本が“蒙古襲来”を撃退し得たのは、“神風”のおかげだけではなく、元・蒙古軍に抵抗していた当時の朝鮮勢力の奮戦で、蒙古軍の到来が遅らされたことが要因の一つであること。

などなど、枚挙に暇はありません。これらのことは、私たちが日本と朝鮮との関係を見つめ直す上で、重要な示唆を与えてくれます。何より気づかされるのは、日本と朝鮮との関わりが、国家間の問題となるのは、2000年のスパンで捉えたときに、ごく最近のことに過ぎない(浦部法穂著「世界史の中の憲法」もご参照ください)、という事実です。近代国民国家の成立以前の、日本(列島)と朝鮮半島との間には、秀吉による朝鮮出兵・侵略という悲惨な愚行を除けば、時々に紛争や対立はあっても、民間交流を下敷きに、概ね対等平等な相互互恵関係がありました。元来、日本海を挟む二つの地域に、支配・被支配を正当化する優劣感情はなかったのではないかというのが、このシリーズ放映を観ての感想です。

ご存じのとおり、今年2010年は、日本が韓国を併合して100年という節目の年にあたります。次回1月31日、最終回の放映は福沢諭吉と朝鮮との関わりを軸に、日本の明治維新以後、日露戦争までの時代を辿る内容と予告されています。福沢諭吉が唱えた脱亜論が、日本によるアジア侵略の理論的基礎づけとなったことはよく知られているところです。日本による朝鮮植民地化の爪痕は、今なお完全に修復されたとは言い難い。福沢諭吉が日朝関係の中でどのような役割を果たしたと描かれるのか、興味深いところです。

一方で同時期、石川啄木は「地図の上/朝鮮国にくろぐろと/墨をぬりつつ秋風を聴く」との歌を発表しました。また、朝鮮独立運動を支援し、朝鮮人の権利擁護に努めて日本人で初めて韓国の建国勲章を受けた弁護士布施辰治(現在ドキュメンタリー映画「弁護士布施辰治」を製作中です)の存在も、忘れるわけにはいきません。
2010年、日本と朝鮮との関係、今後のあり方を再度見つめ直す年にしたいものです。

【放映情報】NHK教育テレビ ETV特集「シリーズ日本と朝鮮半島2000年」のこれまでの放送内容は、こちらからご覧ください。
(放映一覧)
第1回 古代 人々は海峡を越えた 09/4/26
第2回 “任那日本府”の謎 09/5/31
第3回 仏教伝来〜渡来人がもたらした飛鳥文化〜 09/6/28
第4回 そして “日本” が生まれた 〜白村江の敗戦から律令国家へ〜 09/7/26
第5回 日本海の道〜幻の王国・渤海(ぼっかい)との交流〜 09/8/30
第6回 蒙古襲来の衝撃 〜三別抄(さんべつしょう)と鎌倉幕府〜 09/9/27
第7回 東シナ海の光と影 〜倭寇の実像を探る〜 09/10/25
第8回 豊臣秀吉の朝鮮侵略 09/11/29
第9回 朝鮮通信使 〜和解のために〜 09/12/27
(NHK総合)日本と朝鮮半島2000年 スペシャル 10/01/03

 
                              

 

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