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映画「カティンの森」


                              
H・T

 1926年生まれの巨匠アンジェイ・ワイダ監督。「灰とダイヤモンド」「地下水道」など、第2次大戦でドイツとソ連という大国にはさまれた祖国ポーランドの苦難の歴史を描く数々の名作を残してきました。
 今回は、有名な「カティン虐殺事件」を映画化しました。1939年8月、独ソは不可侵条約を結びます。直後の9月、ドイツ軍はポーランドに侵攻。東方へと必死で逃れる避難民たちの行く手にソ連軍が現れます。宣戦布告もなく突如侵攻してきたソ連軍はポーランド軍の将校約15,000人を捕虜に。その一人、アンジェイ大尉を探して幼い娘と共に追ってきた妻アンナは夫を見つけ出し、一緒に戻ろうと哀願します。しかし、アンジェイは軍人として仲間と共にソ連の貨車で連行されて行きます。

 ソ連は、翌40年の4月から5月にかけて捕虜たちを秘密裏に殺害。うち、約4,400人をカティンの森に埋めました。ソ連はこれをドイツ軍の犯行だと宣伝し、ドイツは否定します。ワイダ監督の父もこの事件に絡み虐殺された将校の一人です。母は夫の生還を信じながらなくなりました。監督は映画化を試みますが、ソ連の強い影響下に置かれたポーランドでタブーに挑むことは不可能でした。

 ソ連は、90年になって、ゴルバチョフがスターリンの命令による虐殺として謝罪し、公的には決着がつきました。

 閉じ込められ、最後は後頭部を撃ち抜かれて穴に埋められていく将校の群。動きが暗く静かな男たちと、夫を、息子を、そして兄を探し、待ち、死を知らされても男たちと同じ行動(抵抗)に挑戦していく女たちの気品に溢れた激しい動きの対比は、戦争や蛮行の罪の深さを際立たせています。登場人物を含め、ほとんど実話です。

 劇中、アンナの夫の父にあたる大学教授はドイツの収容所で亡くなります。「言いたいことは一つ。独ソ両国ともポーランドを事実上、『消滅』させることで、ポーランドを思うままに動かしたかったのだ」。当時の大国のエゴを告発していることはもちろん、現在でも残る国家による様々な暴力をも哀感を込めて鋭く告発していると感じられました。

【映画情報】
【製作】2007年 ポーランド 
【原題】KATYN
【時間】122分
【監督・脚本】アンジェイ・ワイダ
【出演】マヤ・オスタシェフスカ/アルトゥル・ジミイェフスキ/ヴィクトリャ・ゴンシェフスカ/マヤ・コモロフスカ
【上映館】東京・岩波ホールにて上映中 全国順次公開

 
                              

 

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