法学館憲法研究所は、憲法を系統的に研究し、個人の尊厳の実現をめざす非政府組織としての自由な研究機関です

法学館憲法研究所

Mail info@jicl.jp
 
今週の一言
憲法情報Now
 憲法をめぐる動向
 イベント情報
 憲法関連裁判情報
 シネマ・DE・憲法
 憲法関連書籍・論文
 ■今日は何の日?
憲法Voice
研究所・客員研究員紹介
中高生のための憲法教室

憲法文献データベース
日本国憲法全文
リンク集
 
事務局よりお知らせ
賛助会員案内
メールマガジン
ご意見フォーム
サイトマップ

憲法情報Now<シネマ・DE・憲法>

 

映画「ブラック会社に勤めているんだが、もう俺は限界かもしれない」


                              
H・T記

 2チャンネルに書き込まれた実話がベースになった物語です。ありえなさそうでありえてしまう会社でひたむきに頑張る話が話題を呼び本になりました。表向きは優良企業ですが、実態は不況下にあえぐ社員を奴隷さながらに使う会社を総称して“ブラック会社”と呼んでいます。

 イジメで登校拒否から高校中退、8年間もひきこもっていたマ男は、母親の事故死をきっかけに一念発起。プログラマの資格を取得し、何社も不採用になりながらも、やっと小さなIT企業「黒井システム株式会社」に就職します。しかし、そこは想像を絶する“ブラック会社”でした。出社初日から大量の仕事を何らの指導もなく押しつけられ、サービス残業・徹夜は当たり前。何重もの下請けの末端にいる会社は常識破りの納品日でも仕事を取らざるをえません。同僚たちも、横暴でいばり散らし責任感ゼロのリーダー、過労でアップアップし精神的な異常者と思われる者、お調子者など超クセ者ぞろい。意味もなく怒鳴られながら、不眠不休の過酷なデスマ(デスマーチ:死の行軍)に巻き込まれてゆきます。

 「もう限界だよ! 辞めてやるよ、こんな会社!」そんな毎日。しかし、辞めたら次の仕事を探すか、ニート?いずれも大変な苦労が待っていることは経験済みで、辞められません。倒れても必死で起き上がり、がむしゃらに働くマ男と同僚たちがコメディタッチを盛り込んで描かれています。

 マ男は結局頑張り続けます。逃げ出したいという気持ちにムチ打って。「限界」と「頑張る」がキーワードです。

 監督は、つらく理不尽な環境であっても、それに耐えて人と関わることで自らの人生を前進させるしかない、それには自分から「変わりたい」という気持ちを持ち続けることが必要で、そこに希望が見えてくる、元気をなくした人に観てもらいたい、と述べています。

 ブラック会社でも生きるためには働かざるを得ないのが現実であり、監督の言は確かにそのとおりです。そして、マ男が何とか踏みとどまることができたのは、経歴は中卒で経験もない彼を「人間」として理解し、応援してくれた先輩がいたからであり、その先輩も似たような悩みを抱えながら生きていることが分かったからでした。今の職場はコミュニケーション不足で、働く人は孤立しがちです。自力の努力の大切さとともに、職場の存続には「人間の眼」が不可欠なことを教えてくれます。

 しかし、その先輩も職場に見切りをつけて辞めてゆき、また新人が入ってきます。頑張り続けさえすればそれでいいのか、浮かない顔で劇場を後にした人が多いように見えました。下請けや雇用の条件を憲法の視点から変えていくというメッセージは、前面には出ていなかったように思います。

【映画情報】
【製作】2009年 日本
【時間】104分
【監督】佐藤祐市
【脚本】いずみ吉紘
【原作】黒井勇人
【出演】小池徹平/マイコ/池田鉄洋/田中圭/中村靖日/品川祐/田辺誠一/森本レオ【上映館】全国で公開中
公式サイト 

 
                              

 

[今週の一言][憲法情報Now][中高生のための憲法教室][憲法文献データベース][事務局からのお知らせ]
[トップページ]