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テレビドラマ「遙かなる絆」


                                                           
H.T.記

 18日から始まったNHK土曜ドラマです(全6回)。残留孤児のドラマとして「大地の子」から14年。今回はノンフィクションです。原作は、城戸久枝さんの「あの戦争から遠く離れて〜私につながる歴史をたどる旅」。残留孤児だった父の娘として日本で生まれた城戸さんの眼を通して、国家が行う戦争の苛烈さ・非人間性と、にもかかわらず関わった人たちの国境を越える愛の深さ、人間の尊さを対照的に描いています。

 21歳の城戸さん役の久枝(鈴木杏)は、1997年中国東北部にある杏林大学に留学しました。そこで父・城戸幹の血のつながらない家族や親戚の人たちに温かく迎えら、父は1945年、肉親と生き別れて残留孤児になった生い立ちがあったことを知ります。零下20度という酷寒の牡丹江のほとりの頭道河子という村で、4歳だった幹さんは養母・付淑琴さん(岳秀清)に孫玉福という名前をつけてもらい育ちました。貧しい暮らしの中で敵国人の子供に自分の子供のような深い愛情を注ぐ付淑琴さん。
 幹さんは、中学校進学で寮生活に入る頃、母への恩返しを心に誓います。しかし、肉親への想いを絶つことができず、24年間生きた中国を離れて、文化大革命の最中の1970年、28歳の時、自力で日本の土を踏むために出立します。政治の放置で日中国交回復もされず、「中国残留孤児」も問題になっていない時代のことでした。発車間際の列車の傍で泣き崩れ、「玉福、行かないで!」と叫ぶ付淑琴さん。

 旧満州で何度も何度も繰り返されてきた同じような悲劇。引揚者の方は想い出すだけで身体の震えが止まらず、ドラマなど視られないという話も聞きます。「あの戦争から遠く離れて」―戦争を知らない世代にとって親たちが経験した戦争とは何だったのかを知るとともに、戦争で犠牲になる人間は「敵」も「味方」も同じ温かい血が流れる人間の仲間同士であることを確かめさせてくれるでしょう。

 先の戦争から63年経ちましたが、日本と中国の間では、戦争の史的事実の認識の溝が埋まっていません。教科書の記述の仕方も、日中戦争は極めてセンシティブな問題の一つであり続けているということは異常です。
 最近では、南京事件(1937年)70周年を記念して海外で映画が何本か制作されましたが、肝心の日本では1本も公開されていません。この事件の当時南京に在住し、他の10数人の外国人と共同で組織した南京安全区国際委員会の委員長として中国民間人を保護し、“ドイツのシンドラー”と称されたドイツ人のジョン・ラーベ氏を国際的な視点で描いた中国、ドイツ、フランス合作の映画『ジョン・ラーベ』も、日本では公開の見通しが立っていないとのことです。この映画は既にドイツで公開され、中国、ベルギー、フランス、イタリア、スペインなどでも上映されます。

 歴史の核心に迫る映画やドラマが日中で活発に制作・上映され、フランクに議論されるようになることを願うとともに、「遙かなる絆」が、溝を少しでも埋める役割を果たしてくれることを期待したいと思います。

【放送】NHK4月18日(土)〜(NHK土曜ドラマ 全6回)
     総合 午後9:00〜9:58
     BShi 午後5:55〜6:53
【原作】城戸久枝「あの戦争から遠く離れて〜私につながる歴史をたどる旅」
【脚本】吉田紀子
【演出】岡崎 栄/石塚 嘉  
【出演】鈴木 杏/グレゴリー・ウォン/岳 秀清/フービン(胡兵) /森下愛子/加藤健一  
公式ホームページ】 

 
                                                           

 

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